「不動産のソムリエ」になる。「やる気があれば良い」という時代は終わった。

ルーク不動産は巣鴨と駒込の2店舗で地域に密着したサービスを提供しています。YouTubeやInstagram、自社ホームページは、飲食店や公園の紹介などの情報発信を行い、地域のプラットホームとして多くの方から愛されています。
今回は、代表を務める安藤氏にサービス内容やコロナ禍における変化などについて伺いました。
■株式会社ルーク不動産の会社概要及び事業内容
SUMAVE:御社の事業内容を教えていただけますか。
安藤氏 : ルーク不動産の安藤と申します。弊社は地域に密着した不動産賃貸、仲介、売買管理などを行っています。私達が目指すのは「地域No1不動産」です。
今後、不動産業界にもテクノロジー導入され、従来通りの営業では生き抜くことできません。お店に来て頂くからこそ出会える物件、お客様の話を聞いて潜在的なニーズを読み取る営業技術は、なくてはならないものになると考えています。
■不動産事業におけるコロナ禍、コロナ前での業績の変化について
SUMAVE:御社の不動産仲介事業でコロナ禍、コロナ前の反響や来店数の違いなどを教えてもらえますか。
安藤氏 : コロナ禍で反響数自体は減りましたが、ありがたいことに口コミや紹介のお客様が多く来店され、売上自体は増加傾向にあります。コロナ前と比較して変化したことは、繁忙期である2月から3月の動きが鈍かったことです。
この時期は、会社の異動や大学生の上京により人が大きく動きます。しかし、コロナの影響で会社の人事がでない、大学の授業も当分オンラインだから状況は見合わせるというお客様が多かったようです。
■ルーク不動産におけるテクノロジー導入事例
SUMAVE:御社のYouTubeを拝見しました。YouTubeを始めたきっかけを教えてください。
安藤氏 : 創業当時は売上が伸びず試行錯誤の日々でした。とにかく売上につながることは何でも挑戦しようという試みのひとつがYouTubeです。一般的に不動産のYouTubeはお部屋を紹介しています。しかし、お部屋は商品なので永遠にあるわけではありません。ですから、弊社では「ルーク不動産に行ってみたい!こんな代表のもとで働くスタッフにお部屋を探してもらいたい」というファンを作ることを目的としています。
広告収入や再生回数にはこだわらず、企業のブランディングという位置付けと捉えています。まだまだ模索している最中なのですが、他社と同じことをしても意味がないので、他社では話せないような地域に密着した内容でファンを増やせたら嬉しいです。
SUMAVE:Instagramやホームページも同じような目的で作られているのですか?
安藤氏 : そうですね。Instagramは、地元の美味しいお店紹介など地域の方々のコミュニティの場として活用しています。
地域に足をつけ地域の方に愛されるお店でありたいという理想を掲げ、社員教育として投稿の割当をしております。投稿を通じて「次はこのお店を紹介しよう」という日々の行動における意識付けや「あそこのラーメン美味しいですよ」というお客様目線に立った接客スキル向上にも役立っています。
また、自社ホームページのコラムでは、地域の公園を評価付けしています。弊社がお店を構える地域は「将来的にこの小学校に入学させたい。そのためにこの区に住みたい」という教育に熱心な親御さんが多くいらっしゃるという特徴があります。ですから、幼いお子さんをお持ちの親御さんに少しでも喜んで頂けたらと考えて情報を発信しております。
SUMAVE:自社ホームページのSEO対策はしていますか?
安藤氏:弊社はSEOよりも、GoogleマイビジネスでのMEO対策に力を入れております。
おかげさまで非常に高い評価を頂いております。「担当の○○さんの接客で良い部屋が見つかりました」というように、社員の名前を書いてくださるお客様も多く、お客様に寄り添った接客の賜物ではないかと嬉しく思っています。
【ルーク不動産Facebookよりhttps://ja-jp.facebook.com/rook.koyoen】
■不動産業界とテクノロジーに関する今後の展望について
SUMAVE:5年後、10年後の不動産テック、賃貸仲介はどうなっていくと考えていますか?
安藤氏:無人化された一括オンラインと優良なサービスを提供する店舗で二極化が進むと考えております。
今回のコロナ禍で「オンライン内見」「現地集合」「IT重説」が加速しました。お客様の「人との接触を控えたい」という要望はもちろんですが、「物件は自分でオンラインで探したい。最終確認として内見はやりたい」という方が増えたことが背景にあります。もしかしたら、店舗に出向くことで、おとり物件に釣られたり、営業の実入りの良い物件しか紹介されないのではないかという不信感も原因のひとつかもしれません。
今の時代、インターネットで出てくる物件は基本的に同じで情報格差はありません。最も良い物件を見極めるために勉強する意識の高いお客様は今後ますます増えるでしょう。ですから、店舗を構えるのであれば、お客様の聞き取りを丁寧に行って潜在的なニーズに合うものをピンポイントで提供する必要があります。
例えば、ワインを購入する場合、自分で調べても良いけれど、わざわざソムリエのいるお店に出向くのはなぜでしょうか。店舗に足を運ぶという手間や多くの対価を払っても良いから選んで欲しいという価値がソムリエにあるからでしょう。ですから、私達も「不動産のソムリエ」であるべきだと考えています。
「やる気があれば良い」という時代は終わりました。豊富な知識と経験、コニュニケーション能力を駆使してお客様に満足して頂き、満額の対価を喜んでお支払いいただけるスタッフやコンシェルジュを抱える店舗でなければ生き残れない時代がきていると思います。
SUMAVE:不動産のソムリエは凄く分かりやすい例えだと思います。業界として取り組むべきことがあれば教えてください。
安藤氏:現在、開業に当たっては5人に1人以上の宅地建物取引士の設置が義務つけられています。そのため、宅建を持ったおじいさんをアルバイトで雇って、それ以外の社員は宅建を持っていないという店舗もみられます。しかし、宅建がないと物件を扱えないなど、宅建そのものの位置付けを高めなければ業界全体が良くならないと思います。
■不動産業界全体に対して感じること
SUMAVE:業界がもっと良くなるためにはどうすれば良いかなど伝えたいことを教えて下さい。
安藤氏:不動産業界には昔から「怖い」「威圧感がある」「ギラついている」など良くないイメージがありますよね。私も不動産業界におりますが、そういった原因の一つが、業界に従事する方々がお金に縛られすぎているからではないかと思います。もちろん、お金は大切ですが幸せの全てではありません。
例えば、大学生や新社会人がお部屋を探しにきたとします。一般的には7万円前後のお部屋になるでしょう。営業の中には、金額の少ない仕事だと感じる方もいるかもしれません。でも、7万円のお部屋を借りるためには40万円ほどのお金を支払う必要があります。20歳前後の40万円は大金です。「この子の大切なお金を預かっている。最高のお部屋を探さなければ」そういう「心」を蔑ろにして、目先の売上しか見えていない方が多いのではないでしょうか。
確かに収益と利益は大切ですが、もっと大切なのは「モノを売るのではなく、人のために動く」という気概だと思います。どれほど不動産テクノロジーが進化しても、「心」の部分を大切にすることがお客様を喜ばせ、社員を幸せにし、会社を繁栄させ、業界全体を良くしていくと思います。
インタビュアー: Rean Japan 夏目 力
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