コロナ禍で安定した集客を支えたグーグルMEO対策とは?

品川区大井町、大田区大森、横浜市桜木町の3店舗で賃貸マンションやアパートを豊富に扱う株式会社リブリッチ。代表の栗永氏は「身近な人を幸せにすることがお客様の幸せにつながる」という考えのもと、スタッフとお客様を最優先したテクノロジーの導入を徹底。コロナ禍においても前年を上回る売上を達成しています。
今回は、栗永氏にインタビューを行い、不動産テクノロジーの導入事例やコロナ禍における変化、今後の展望について伺いました。
株式会社リブリッチの会社概要及び事業内容
SUMAVE:御社の事業内容を教えていただけますか。
栗永氏 : 株式会社リブリッチ代表の栗永と申します。事業内容は、不動産業における賃貸仲介、売買仲介、不動産管理です。現在は、大井町と大森、さらに、桜木町にあるグループ会社の3店舗で営業しております。
不動産事業におけるコロナ禍、コロナ前での業績の変化について
SUMAVE:御社の不動産仲介事業でコロナ禍、コロナ前の反響や来店数の違いなどを教えてもらえますか。
栗永氏 : 2020年4月に緊急事態宣言が出され、弊社でも時短と休日を増やすなどの対応を取りながら営業を継続してきました。時短営業にも関わらず、反響や来店が減少することはなく、11月までの売上は前年と比較しても常にプラスで推移しました。その後、12月と1月だけは遅れてコロナの影響がでたのか、反響や来店が減少しました。しかし、繁忙期である2月と3月には持ち直し、結果的には、年間通じての売上は前年と比較してプラスで終えることができました。
Googleマイビジネスを活用したMEO対策
SUMAVE:コロナ禍でも反響数や来店者が減少しなかったのは凄いですね。SEO対策などをされていたのですか?
栗永氏 : 自社サイトのSEO対策はそれほど行っておりません。稀にリスティング広告を打つくらいです。それよりも、弊社ではGoogleマイビジネスを活用したMEO対策に力を入れてます。
Googleマイビジネスは、店舗情報を登録することで、Google検索やGoogleマップで情報を表示させることができる無料ツールです。例えば、Googleマップで「大森」「不動産」と入力して検索すると、口コミの多さと評価の高さによって上位表示されます。弊社では、Googleマップから来店されるお客様が非常に多いのが特徴です。
SUMAVE:Googleマップで上位表示させるためには、お客様にできるだけ高い評価のレビューを書いて頂く必要がありますが何か対策されているのですか。
栗永氏 : 弊社では契約が終わると「レビューを書いてください」とお願いしています。また、成約のお客様には私の出身地である香川県から取り寄せた「創業百余年の老舗店の讃岐うどん」を全店舗でお渡ししております。うどんをお渡しするタイミングでレビューをお願いしています。成約頂いたお客様ですので、酷評されることはほとんどなく、高い評価を頂いております。
株式会社リブリッチにおけるテクノロジー導入事例
SUMAVE:今回のコロナ禍では、自動音声やオンライン内見など様々なテクノロジーが導入されたようです。リブリッチさんの導入状況について教えてください。
栗永氏 : 遅ればせながら昨年11月に自動音声対応を導入し、管理物件の空き確認について24時間電話対応ができようになりました。以前は管理部門だけでなく営業部門も電話応対をしておりました。今では電話対応に費やしていた営業スタッフの時間を有効活用し、業務に集中できるので非常に重宝しています。
オンライン内見も昨年導入しました。非対面で契約まで完結できるシステムを整えておりますが、現状そこまで利用するお客様は増えておりません。初期の段階でオンライン内見で候補を絞り込み、最終的には実際に物件を見てご契約頂くという流れになっています。稀に上京予定のお客様で「契約まで一貫してオンラインで済ませたい」という要望にはお応えしていますが、基本的にはお客様の目で見て頂くリアルの内見は必ず行っております。
不動産業界とテクノロジーに関する今後の展望について
SUMAVE:御社の5年後10年後についてキャッシュレス決済や店舗のあり方など含めて教えてください。
栗永氏 : 個人的な見解ですが、不動産業は労働集約型の産業なので完全無人化にはならないと考えています。そのためテクノロジーはどちらかと言えばサポート的な位置付けと捉えています。5年後、10年後、店舗がなくなることはないでしょう。むしろ今回のコロナ禍で実店舗の価値は高まったと考えています。
キャッシュレスに関しては、今のところクレジットカード払いのみで電子マネーには対応しておりません。ビットコイン払いを導入しているお店もありますが、ボラティリティが高く安定性の面から弊社での導入は見合わせています。
不動産業界でテクノロジーの導入が遅れている理由と提案
SUMAVE:業界全体として、テクノロジーの導入が他の産業と比較して遅れているという意見が多いのですが、栗永さんはどうお考えですか。
栗永氏 : 今の段階では業界全体がそこまでテクノロジーを必要としていないのでしょう。現状のままで良い、それほど困っていないと考えている方が多数派なのかもしれません。
SUMAVE : 業界として「もっとこんなテクノロジーがあれば良いのに」というものがあれば教えてください。
栗永氏 : 個人的には来店予約システムが弱いように感じています。例えば、飲食店や美容院に行く場合、食べログやホットペッパービューティーで予約するのが当たり前です。
でも、不動産業界の予約システムはそこまで浸透していません。今の時代、電話で問い合わせてから来店するというのは、ハードルが高いのではないでしょうか。若者、というよりも、社会全体でも「よほどの緊急時以外に電話はしたくない」という方は多いと思います。電話やメールのやり取りを省いて、来店までのステップを減らすことがお客様の負担軽減につながると考えています。
具体的な対応として、自社サイトやGoogleマイビジネスで「来店予約」へのリンクを数多く配置し、簡単に予約フォームに入れる工夫をしております。せっかく来店予約システムを持っていても、予約ページに辿り着けず有効活用できていない店舗さんが多く見受けられます。簡単にアクセスできるように、動線を増やしていくとお客様にも喜ばれ来店が増えて売上も上がると思います。
テクノロジーがもたらす透明性が不動産業界に与える影響
SUMAVE : テクノロジーがもたらす透明性から業界全体が良くなるという意見も聞かれますが栗永さんの意見をお聞かせください。
栗永氏 : 仰る通り、今はお客様のレビューなどで嘘や不正が全て公になる時代です。そうであるにも関わらず、不動産業界全体として「正直に当たり前のことをする」ということが、いまだに得意ではないように感じます。
最近は見られなくなりましたが、かつての「おとり物件」などはそのひとつではないでしょうか。そのため「正直にコツコツと当たり前のことを当たり前にする」だけでも、差別化と売上げにつながるように感じております。実際に弊社でも結果が出ておりますし、そう言った意味でも、テクノロジーがもたらす透明性は業界全体が向上する良い流れなのではないかと思います。
SUMAVE : 最後に、テクノロジーの導入に伴い、宅建は必ずしも取得する必要はないのではないかという意見もあるようですが、栗永さんはどうお考えですか。
栗永氏 : 宅建は必ず取得すべきです。これは個人的な見解ですが、免許を保持しない営業マンはプロではなくアマチュアです。そのため、弊社では管理職以上への昇格には宅地建物取引士の取得が条件となっております。不動産のプロとして、一貫して同じスタッフが契約まで担当するのが理想だと考えております。
どれほどテクノロジーの導入が進んでも、宅建の価値は変わらない。そう考えます。
インタビュアー: Rean Japan 夏目 力
■本記事の動画はREAN JAPAN YouTubeチャンネルにて公開中!