【蔵出しイベントレポート】クラウドサイン橘大地氏をクローズアップ

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【蔵出しイベントレポート】クラウドサイン橘大地氏をクローズアップ

はじめに

新型コロナウイルスの影響により、不動産テック関連のイベントやセミナーの延期・中止は続いています。イベント取材の数もだいぶ減りました。そこで、今回は蔵出しイベントレポート記事です。本記事では、昨年の8月28日に開催されたイベントより、朝日インタラクティブ株式会社とリブセンスが共催した、「不動産テックカンファレンス2019」を取り上げます。クローズアップするのは、弁護士ドットコム株式会社でクラウドサイン事業部の取締役を務めている、橘大地氏です。株式会社NTTデータ経営研究所のシニアマネージャー・川戸温志氏とのクロストークセッションから、橘氏のコメントに焦点を当てて紹介します。

クラウドサインとは

画像出典元:https://www.cloudsign.jp/

契約締結のスピードアップ、コスト削減、コンプライアンスの強化といった3つが、クラウドサインの代表的なメリットです。クラウド上で締結するため、契約書の郵送や受け取りがありません。数日かかっていた締結がわずか数分で済みます。

  • 返事がまだ届かない
  • 忙しくて書類を受け取れない
  • 記入の抜け漏れで再送

これらのストレスとも無縁です。契約書を郵送する費用がかからないこと、そのための書面作成の作業が発生しないことも見逃せません。クラウドサインの契約書なら、バックアップデータが原本のため写しが不要です。2019年7月時点の実績ですが、電子契約を利用する企業のうち、約80%がクラウドサインを使っているという調査もあります(矢野経済研究所調べ)。2019年10月に発表した三井不動産リアリティとの提携により、大手をはじめとした不動産会社からの引き合いが増えています。2020年2月25日には、ベルフェイス株式会社とも提携。オンライン商談のために開発されたプロダクトであるbellFace上での、スムーズな契約締結を実現させました。

2018年11月時点で2万9,000社だった導入実績は、2020年3月時点で(業界問わず)6万社超に。オンライン化、WEB化という波紋は、不動産業界でも日増しに大きくなっています。3月12日には、大東建託が電子契約の法改正を見越した取り組みを発表しました。ペーパーレス化の推進、コンプライアンス強化、ワークスタイル改革を目的に、大東建託グループ内の文書を電子化する取り組みです。100万件以上ある全入居関連書類の電子化を2020年7月までに目指すとしています。これらの現状を不動産業界関係者に広く伝えるために、今一度、電子化という不動産テックキーワードを取り上げていきます。今回クローズアップするのは、契約書を電子化したクラウドサインです。

店舗運営を成功に導いたライザップは、広告塔になるタレントを緻密なマーケティングから選んでいた

橘:海外の電子契約は、電子署名の技術を使うことでセキュリティを高めようという文脈から普及しました。日本の場合は、もともと、「割り印を契約書の全ページに押して郵送」といった作業負荷の軽減・業務効率化が電子契約、電子署名を導入する目的になっています。ところが、「電子契約が便利そうだからはじめたい」という話になっても、「だからといって、明日から印鑑を捨てることがない」となったり、「いますぐ、クラウドサインにすべてを切り替えます」というオールオアナッシングにしたりすると踏み出しにくいものです。現在は、少しずつ切り替えるようなカタチで、さまざまな業界で導入が進んでいます。

橘:不動産会社さまからの引き合いも増えています。とくに、ご相談が増えているのが、賃貸契約においての来店カード活用についてです。顧客体験からすると、来店カード、仮契約など、一回書いた自分の個人情報を来店のたびに何度も書かなければいけないという煩雑さがあります。これをデジタル化している取り組みが、クラウドサインNOWです。来店カードの用紙をタブレット端末に置き換えて、そこに手書きで個人情報を入力してもいます。この情報をAIがデジタルテキストにするというのが、クラウドサインNOWです。手書きの情報をデジタル化することで、顧客情報がいつでも検索対象になります。「契約まで進んだ」「仮申込中」などの顧客ステータスを一目で管理することも。情報は本社、各支店に同期され、店舗運営が劇的に変わります。どう変わるか。自社マーケティングができるようになるんです。

橘:男女のうち、2度目の来店割合が高いのはどちらか。20代と30代で成約率はどのくらい違うか。A店とB店の来店率はどれくらい違うか。これらがすべて来店カードからわかるようになります。わかると、マーケティングに生かせるんですね。女性の来店率が高い店舗なら、女性向けの施策を打つなどです。タブレット端末を使うことで、そうしたデータを簡単にデジタル化することができます。代表的な成功事例がライザップです。

画像出典元:https://www.rizap.jp/

橘:ライザップの店舗運営がうまくいった舞台裏には、徹底的した分析がありました。「どのセグメントに、どうやってマーケティングをすると受注するか」「広告塔となるタレントに誰を起用するか」などは、極めて戦略的に選ばれています。「この時期にはこのタレントが効果的」「いまは男性タレントがよいか女性タレントがよいか」などの研究結果をもとにしたアプローチでした。これは、来店カードによる情報を研究したマーケティング成果にほかなりません。いいかえると、いま、普及しているフィットネスクラブなどの店舗運営型のビジネスなら、クラウドサインNOWの効果を実感できると思います。このとき、重要なポイントが1つあります。それは、使いこなす必要があるということです。プロダクトやサービスを導入しただけで成果を挙げられるわけではありません。

不動産テックは道具。使いこなす人の存在が欠かせない

橘:私たちが意識しているのが、サポート環境です。どんなにテクノロジーが充実していても、それを人が使いこなせなくては無意味です。重要なのは、プロダクトやサービスを人が使いこなせるようになることなんです。店舗の担当者が辞めることで、「あれ。これ、どうやって使うんだ」となって使われなくなる残念な事例があります。リテラシーの高いスタッフだけが使いこなすような状況は避けなければいけません。そのために、サポート環境を私たちは充実させようとしています。不動産会社さまをはじめ、導入していただいた企業さまと一緒になって、「どうやってクラウドサインを使いこなすか」「どうやってこの情報をデータ化させるか」といった、デジタルトランスフォーメーションに取り組みます。

橘:2019年の10月から、IT重説のデジタル交付について社会実験がはじまります(※イベントは2019年8月開催)。2020年になって本格運用となれば、電子契約や電子署名の普及スピードは加速するでしょう。このとき、もっとも重要なことはサポートです。導入していただいた企業さまがクラウドサインを使いこなすためのサポートが欠かせません。いま、地方の不動産会社さまの店舗を1店舗ずつ回っております。現場スタッフから、実際の声をヒアリングしています。

来店カードは、営業時間が終わったあとに、自分のパソコンで必死になってエクセルに転記している

実際は転記作業が追い付かないので、つきに一度、まとめて来店カードと契約書を見比べ、顧客を一人ひとり仕分けている

橘:そうした店舗の人たちは、売上を作るために必死で接客と事務作業をこなしています。彼らのような疲弊している人たちに、私たちのプロダクトが貢献させていただきたいなと思っています。少しでも不動産業界に貢献できたら幸いです。

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