世界中に200拠点。3,000円からはじめる定額制住居サービス『HafH(ハフ)』が好調

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世界中に200拠点。3,000円からはじめる定額制住居サービス『HafH(ハフ)』が好調

はじめに

2020年1月21日に、“不動産×サブスクリプション”をテーマにした不動産テックイベントが開催されました。主催はInc-line Tokyoです。会場は東京都渋谷区にある、渋谷ヒカリエでした。

当日は、Japan.asset management株式会社の内山博文氏をモデレーターにすえ、『ADDress』の佐別当隆志氏と、『HafH(ハフ)』の共同代表を務める大瀬良亮氏がスピーカーに迎えられていました。本記事では、大瀬良氏の発言を取り上げ、『HafH』というサービスや大瀬良氏について紹介していきます。

大瀬良亮とは

画像提供元:大瀬良亮氏

働き方をテーマに起業した、元・電通マンです。大瀬良氏は、共同代表である砂田憲治氏とともに、株式会社KabuK Style(カブクスタイル)を起業しました。ワーケーションのコリビング不動産テックサービス『HafH』を提供するスタートアップです。

『HafH』とは

画像提供元:大瀬良亮氏

好きなときに好きな場所で働くための住まいを見つけることができるサービスが、『HafH』です。サービスは2018年11月に、クラウドファンディングサービスであるMakuakeにてリリースされました。400名以上から1,000万円以上の資金を集め、2019年4月からサービスはスタート。不動産テック領域にとどまらず、いま、サブスクリプションの新しいビジネスモデルとして注目を浴びています。

画像出典元:https://www.makuake.com/project/hafh/

『HafH』の特徴は大別すると3つです。

  1. 定額制のサービスである
  2. “HafHコイン”を使うと宿泊がお得
  3. 世界中に泊まれる拠点が約200ある

毎月支払う定額制のプランは4つあります。

  • 3,000円
  • 1万6,000円
  • 3万2,000円(200coin)
  • 8万2,000円(500coin)

4つは、1か月に滞在できる日数に違いがあります。

  • 2日
  • 5日
  • 10日
  • 1か月

画像出典元:『HafH』のホームページより

月額3万2,000円のプランから“HafHコイン”の付与があります。ドミトリータイプではなくダブルサイズのベッドルームにアップグレードして宿泊するなどの、貯めた“HafHコイン”を使うことで、泊まる部屋のグレートをあげることができるものです。拠点数は2019年12月時点で、17の国と地域に194(国内133、海外61)。137都市に約4,700室を用意しています。どの拠点でも、無料Wi-Fiとワーキングスペースを使うことができます。『HafH』は、大瀬良氏が抱いた違和感から立ち上がった不動産×サブスクリプションのコリビング、ワーケーションサービスです。それは、電通でバリバリ働いていた当時に抱いた違和感でした。どんなものだったのでしょうか。

働き方改革のテーマは残業を減らすこと?

大瀬良:私は、働く場所を考えるということは、未来の暮らし方を考えることだと思うんです。『HafH』なら、あなたらしいライフスタイルを見つけることをテーマにしています。サービス名の『HafH』は、“第2のふるさと”という意味のHome away from Homeの頭文字から名付けました。私のふるさとは長崎です。長崎で育ちました。その後、関東へ行き、就職したのは電通です。2011年に大きな地震・震災があり、かかわる人の多様性が広がるなかで、単純な広告業よりも、顔の見える仕事に関心が向きつつありました。

予算の大小ではなく、人の顔が見える仕事がしたい

ふるさとである、長崎で、いままでにないことをしたい

大瀬良:そんなことを思うようになったとき、電通社内で、県や政府といった行政の仕事を受ける機会がありました。政府に出向したさいには、3年間で地球15周ぶんに相当するほどに、”世界を旅して働く”を実践していました。朝、フランスへ向かい、昼になったらドイツ、夜はベルギー。翌日はルクセンブルクを経由してイギリスに入る。当時の私には、ヨーロッパが似たような景色に映り、次第に、「どこにいるかなんて、どうでもよいなあ」となっていきます。同時に、自分がいる場所は目まぐるしく変化するけど、やることは変わらないという現実にも気づきました。私が特殊な環境で仕事をしていたことは確かですが、フルリモートワークで、24時間、どこでも仕事ができるという体験をしました。このとき、世界からみた日本の価値観に、はじめて疑問を持ちました。世界のなかで日本がどういう位置にあるのか、自分なりに考えるきっかけになった経験です。ときには、「あれ、日本、ちょっとヤバイんじゃないかな」そう感じたこともありました。東南アジアは、日本に追いつけ追い越せです。どんどんと新しい取り組みをしています。しかし、日本ではそうはいきません。記憶に新しいところだと、民泊もそうでした。いくつもの複雑な法律が、「ダメ」だと告げてきます。なかなか、新しいことが起こりにくい環境です。

大瀬良:電通をはじめ、多くの会社が、働き方改革の名のもとに、社会から厳しい目を向けられています。自分自身が、「キャリアのために」「会社のために」と前向きな仕事をしたいと思ってもです。杓子定規に”残業NO”が突き付けられます。ルールのみにかたむくことが横行し、自分が働きたいように働けない環境になっているのではないでしょうか。私は思いました。「これは、働けない改革なんじゃないのか」「残業を「0」にすることが働き方改革の目的になってしまってはいないか」この現状に、強い閉塞感を感じます。東南アジアでは、どんどんと新しいアイデアや面白い取り組みがはじまっていて、エネルギッシュです。時間だけに拘束されてしまう働き方は、クリエイティブなアウトプットを阻害することに、なりはしないか。

大瀬良:こんなデータがあります。”日本人は、20代よりも、70代のほうが移動している”というものです。いまの時代は、NETFLIXとUber Eatsがあれば、家から出ることなく、自分が満足するコンテンツを受け取ることができます。移動しなくてもいいと、考えることができてしまう時代です。そのこと自体を否定するつもりはありません。ただし、移動することの価値が、あまりにも失われているように感じます。テクノロジーが助けてくれるんです。「どこでも働けるよ」と。で、思いました。「もっともっと、外の世界に出ていける時代だ」と。ビジネスチャンスも広がります。働き方改革って、そういうことなんじゃないかって。カブクスタイルという会社に私は、そういう思いを込めています。

「旅をしながら働く」進化型コリビング

画像提供元:大瀬良亮氏

大瀬良:私たちが掲げるミッションは、「多様な価値観を多様なまま許容できる社会のインフラを創造する」ことであり、そういう社会インフラを築くことです。インフラの利用を想定しているのは、日本人だけではありません。外国人が、「日本に住みたい」となったとき、簡単ではないです。2人暮らしは大丈夫でも同性同士だとNG、シングルマザーというだけで部屋を借りられないなどの課題は、まだまだ多い。そうした多様な価値観を認められる社会になってほしいので、いまある“障壁”を低くしたいという思いがあります。そこで私たちが行き着いたのが、住み放題というアイデアです。

画像提供元:大瀬良亮氏

大瀬良:私たちは、住む暮らす(live)、働く(Work)、旅をする(Travel)の3つについて考えています。「家(自宅)にいながら働く=従来型のコリビング」「旅をしながら暮らす=シェアハウス型コリビング」「旅をしながら働く=進化型コリビング」です。これらに住み放題というキーワードをプラスすることで”障壁”を低くすることができるのではないかと考えています。私の経験から、「東京に住まなくても働ける(活躍できる)」ということで、私の地元・長崎に『HafH』の拠点をオープンしています。世界中の拠点をあわせて現在は5,000室弱を扱っています。すべての拠点が定額で住み放題です。

画像提供元:大瀬良亮氏

大瀬良:すべての拠点が宿泊業の資格を持っています。簡易宿泊、ホテル業、民泊などです。すべての拠点が実際に宿泊事業をしており、『HafH』の会員ではない、通常のお客さんも泊まりに来ます。Booking.comやAirbnbにも物件として掲載している状況です。じゃらんや楽天トラベルなどのオンライン旅行会社のことをOTA(Online Travel Agency)などと呼びますが、OTAのウェブサイトを利用するよりも、『HafH』の会員になって泊まったほうが定額制であるぶん、使えば使うほど、OTAよりも安く泊まれる場合もあります。

大瀬良:また、『HafH』にはコインの制度があります。いずれは、泊まる拠点の近くにある地元の居酒屋でそのコインが使えたり、地域の稲作や田植えの手伝いをすることでコインが発行され、そのコインで『HafH』の拠点に泊まることができたりする、そんな世界観の実現を目指しています。

画像提供元:大瀬良亮氏

大瀬良:2019年の一年間を振り返ると、キャンセルなどの事情で実際の宿泊数とは違いますが、予約受付数は5,000を超えました。会員は、30代以下が全体の71%です。このうちの4割くらいを女性が占めます。当初は8:2で男性の会員が多かったんですが、いま、どんどんと女性の利用者が増えています。雇用形態で会員をセグメントすると、フリーランスやアドレスホッパーがもっとも多いのかと思いきや、アンケートでは33%で会社員という結果に。次いで多かった回答が27%で、フリーランスでした。想像以上に会社員の利用が多いなという印象を持っています。

画像提供元:大瀬良亮氏

大瀬良:世界を見渡すと、フリーランス市場は、どんどん大きくなっています。会社員が副業をはじめたり、企業が、個人事業主と仕事をしたり。今年は、東京オリンピックがあります。夏は、できるだけ、会社に通勤してくれるなという雰囲気もありますね。可能ならテレワークに、という声も増えてきました。そんなタイミングで、いかに、東京で働くみなさんがリモートワークを会社から許されるか。社会の動きを個人的に注目しています。日本の未来の働き方、暮らし方の変化のきっかけとして、大事なタイミングを迎えているとも感じます。少し古い数字ですが、日本企業でのリモートワーク実施率は2017年時点で14%です。ところが、全世界のリモートワーク実施率は現時点て50%を超えています。15年後の2035年には、ノマドワーカーは世界で10億人にのぼるという推計もあります。

『HafH』に込めた思い

大瀬良:働き方をかえることは、一番の私の思いです。いまの日本は、勤務時間や残業を減らすことが働き方改革のメインテーマになっているように感じられて。私は、なんか、違うんじゃないだろうかと違和感をぬぐえません。その思いをこのスライドに詰め込んでいるので、ちょっと長いですが、読み上げさせていただきます。

働き方を変えることは、勤務時間を減らすことではない。何気なく決めた働く場所や時間が暮らしのほとんどを決めてしまっているように。あなたの働き方は、あなたの働き方そのものだから。そして、働き方はあなたの工夫次第で変えることができるものだから。オフィスにとらわれずに、好きな場所で働けたら。出張のついでに、旅をしてみたら。週末をリモートワークで一日伸ばして遠出してみたら。誰かに決められた働き方からほんの少し自由になるだけであなたの生き方の選択肢も大きく広がる。ワークスタイルを考えることは、ライフスタイルを充実させる一番の近道。さあ、あなたらしく、あたらしい働き方と生き方を見つけよう。ワークスタイルが変われば、ライフスタイルは変わる。

大瀬良:もう、社会が変わるのを待てません。自分ができることから、はじめてみませんか。みなさんにとって、その一歩を踏み出すきっかけが、2020年の今年であることを願っています。

 

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