民法改正も怖くない! 不動産仲介・管理業務を効率化するクラウドサービス

- 不動産業に従事している多くの人は「顧客のデータ管理」や「仲介業者への物件共有」の業務をシステム化することを望んでいる。
- 上記のような要望以外にもポータルサイトへの入稿作業といった手間がかかり、ミスが多くなりがちな業務を効率化させるサービスが登場している。
- 紹介したようなサービスを導入することで、民法改正という大きな変化にも負担を最小限に対応できる。
不動産業従事者にシステム化を切望される業務とは
物件情報や顧客情報、契約情報といったさまざまな情報を扱う不動産管理会社。今までは顧客情報や物件情報を別々に管理していることが多く、入力の手間やミスも多く発生していました。さらに近年では、不動産ポータルサイトへの入稿作業や自社HPの運営といった業務も増え、作業量は多くなるばかり。
特に物件・顧客情報の管理については負担が大きく、日本情報クリエイト株式会社が2018年9月20日に発表した「システムに関するアンケート調査」にもそれが表れています。全国20~50代の不動産業に従事している男女654人に対して実施された同調査によれば、システム化を希望する業務の第1位に「顧客のデータ管理」が挙げられており、全体の3分の1以上(35.05%)が効率化を望んでいることが分かります。加えて「仲介業者への物件共有」のシステム化を望む人々も少なくありません(8.88%)。
システムに関するアンケート調査【出典】日本情報クリエイト株式会社のプレスリリースより【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000015053.html
加えて、2020年4月1日には約120年ぶりとなる改正民法の施行を控えており、不動産業においては法定利率の変更や瑕疵担保責任から契約不適合責任への名称変更、不動産売買契約書の条項記載の見直しなどが予定されています。ただでさえ膨大な作業量に、民法改正への対応も行わなければならず、一層の効率化が求められます。
仲介・管理業務をサポートしてくれるクラウドサービス
近年では、こうした現場の声に応えるクラウドサービスが多数登場しており、業界動向やITトレンドとともにブラッシュアップを続けています。具体的にどのような作業をサポートしてくれるものなのか、いくつか代表的なサービスを詳しく見ていきましょう。
ESいい物件One
株式会社いい生活が提供している、賃貸や売買系の不動産業務に関わるデータを一元管理するクラウドサービス。物件情報、顧客情報、契約情報などさまざまな情報を一つのデータベースに集約して、社内で共有化することができます。およそ4,000店舗以上の不動産会社が利用しており、料金は利用するサービスによって異なりますが、初期設定料金に加えて月額1法人につき2万〜15万円となっています。
公式サイトの導入事例を見ると、「ESいい物件One」を導入したことによって、これまで多くの時間を費やしていた自社のホームページや複数のポータルサイトへの情報入力作業にかかる手間を大幅に削減できたこと。それだけでなく、問い合わせ件数が前年比30%も増加したなど、数々の業務課題を解決してきた実績が紹介されています。
ESいい物件Oneは、顧客対応に重きを置く不動産会社向けに提供されているサービスですが、それ以外にも、管理会社が仲介会社からの問い合わせに柔軟に対応できる「B2B賃貸」というサービスも提供しています。
インターネット上で管理会社が所有する物件情報や空室情報を共有できるこのサービスは、仲介会社からの電話対応を24時間自動応答する上にチラシを作成し、FAX送信を行うこともできます。
ES B2B賃貸【出典】いい物件One公式ページより【URL】https://www.es-service.net/service/esb2b/
2019年9月にはマッチングメールの希望条件にタグ機能を追加して、エンドユーザーの追客に役立つシステムが追加。2019年10月には、操作の簡素化のために媒体掲載画面がよりシンプルで見やすくなりました。専門スタッフが常駐するサポートセンターでもフォローが行われているので、パソコンやインターネットに自信がない方でも安心して使えるのではないでしょうか。
賃貸革命10
以前の記事でも紹介した日本情報クリエイト株式会社が提供している「賃貸革命10」は日々変化する賃貸管理形態にトータルで対応するソフトウェアです。オンプレミス(自社運用)版の他にクラウド版もあり、物件・契約管理、家賃の請求・入金処理などを一元管理して、情報処理のミスやロスの軽減につなげます。物件の問い合わせを案件単位で管理できるので、過去のやりとりを把握したり、同様の問い合わせの参考にしたりすることができます。料金は、初期費用77万円~に加えて月額1万円~で利用できます(2台以上で利用、エンタープライズ版の場合。導入するプラン・オプション・導入サポートによって価格が異なります)。
実際に導入した不動産会社では賃貸革命10の機能に合わせて業務スタイルを変更したところ、管理に関係する業務が3分の1ほど減少したことで残業や仕事量が減り、ミスも少なくなったという声が挙がっています。情報処理をシステムに一括して任せることで、煩雑な業務を手放し、労働時間の短縮につなげているようです。
また2017年4月に新設された「中小企業経営強化税制」の適用対象商材となったため、2021年3月31日までの購入で、即時償却(7%)または税額控除(10%)の処置が受けられます。さらに、2020年4月1日の民法改正に対応するとしており、クラウドサービスの導入を考えている不動産会社にとって選択肢の一つとなるかもしれません。
賃貸革命10【出典】賃貸革命10紹介ページより【URL】https://www.n-create.co.jp/pr/product/kakumei-chintai/
ReDocS(リドックス)
Bambooboy株式会社が提供している「ReDocS」はExcelでの賃貸管理に代わり、物件情報や契約者情報、家賃の入金情報を一つのデータベースで一元的に管理できるサービスです。料金は初期登録料4万9,800円に加えて、ライトプランの月額2,980円から利用可能。会社の規模に合わせて、個別に最適化された見積もりを出してもらうことができます。
同社の代表が前職で不動産管理業務に従事していた際、紙やExcelを使った賃貸管理に疑問を抱いたことがきっかけで作られたこのサービスは、シンプルな操作性とデザインが特徴の一つ。不動産管理の知識が少なくても、フォームに沿って入力するだけでサービスを使いこなすことができます。
またクラウド型ソフトのため、事務所のパソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンなどのマルチデバイスでアクセスすることも可能。さらにコストパフォーマンスにも優れているため、法人はもちろん個人オーナーでも導入しやすいのではないでしょうか。
サイト内で掲載されている導入事例では、従業員を増やさずに管理戸数を増やすことができた。業務の引き継ぎや社内での情報共有がスムーズになったといった効果が挙げられています。
ReDocS【出典】ReDocS公式ページより【URL】https://theredocs.com/
業務を効率化するシステムをいかに有効活用するか
顧客のデータ管理や仲介業者への物件共有といった、従来アナログで行われていた業務のシステム化が進む不動産業界。着々と変革が進む中、2020年4月1日には民法改正が行われます。これにより、業界全体の変化が加速することは間違いないでしょう。
改正に伴い、契約書の条文を変更したり、極度額の項目を追加したりと、普段使用している契約書を改正後に合ったものに更新しなければなりません。そのため、今までと同じようにExcelや紙によるデータ管理をしていては、雛形を手動で変更しなければならず、対応に大きな負担がかかってしまいます。上記のようなサービスを利用することで、普段の業務や法改正に対応するための負担を最小限に抑えることができます。
こうした業界内や社会の変化にも柔軟に対応できるサービスを導入し、いち早く通常の業務に集中できるか否かが、他の不動産会社に差をつけるポイントになってくるのではないでしょうか。