生産性を最大化する! 最新のITサービスで変わる不動産営業

- 最新テクノロジーを用いることで顧客の方から自分を選んでもらい、他の営業マンとの差別化を目指せるようになった。
- 売買、仲介会社の営業だけではなく、追客の業務を効率化させるサービスをご紹介。
- 不動産業者同士の交流にかかるコストを削減し、効果を最大化するマッチングアプリケーションも登場した。
他社との差別化が難しく、信用が要の不動産営業
営業担当者個人を顧客に売り込むことが、わかりやすく成果に直結する業界もありますが、不動産営業の場合、通常顧客は物件ありきで問い合わせをするので、他社に先んじて顧客と関わるのが難しいのが現状です。物件以外に他社との違いをアピールするとしたら、会社の雰囲気や従業員の紹介だと思います。
また、2017年2月に行われた営業スタッフの印象に関するアンケート調査(iYell 株式会社調べ)ではアンケートに答えた25~60歳の男性のうち、6割以上が不動産会社の営業スタッフへの信頼度が低いと回答する結果に。住宅ローンの主債務者や住宅購入の主契約者となることの多い層が、不動産営業に対し不信感を抱いている様子が見て取れます。
同調査レポートでは原因として、不動産という金融資産を扱う性質から営業担当者と顧客との接触機会が少ないことなどが指摘されており、そのため不動産会社と顧客との間にミスマッチが起きやすい状況にあると考えられるのではないでしょうか。
このような不動産営業に対する不信感の改善や、担当者個人や会社の雰囲気を紹介し他社との差別化が図れるサービスがあります。
イイタン
「イイタン」は不動産売買会社の営業担当者の魅力を伝えることで、信頼できる不動産会社営業担当者と顧客とのつながりを生むサービスです。“本音で話せる担当者と住まいの選択ができる世界”を目指しているこのサービスには、会社ではなく営業担当者個人を紹介するページが作られ、そこではその人の強みや想いに関するインタビューが掲載されています。
ページには実際にその担当者に対応してもらった人の声も掲載されるため、イイタンを見ているユーザーは実際に不動産会社に行ってもなかなか知ることができない担当者の魅力的な個性を細かく知ることができます。
このようにイイタンを活用し、自社の担当者の魅力を発信することによって他社との差別化につながり、自ら営業しなくても売主や買主を見つけやすくなるのです。イイタンを運営するヒトワークス株式会社のプレスリリース(2019年10月10日発表)によると不動産の売買を行う際、ユーザーはインターネットを通じて複数の不動産会社(担当者)と同時進行でやり取りを進めることが当たり前になってきているといいます。そして問い合わせを入れる際は、各不動産会社のスタッフ紹介ページや個人名をWeb検索するユーザーが増加しており、実際にどの担当者に会うかどうかを常に比較検討される状況にあるそうです。
こうした中で、ユーザー側から物件情報ありきではなく「この人に担当してもらいたい」という動機から問い合わせしてもらえるよう、営業マン個人のブランド力を高めていくことは、より確度の高い顧客を得ることにもつながりそうですね。
イイタンとは【出典】イイタン公式ページより【URL】https://iitan.jp/about/
短期決着が難しく、リソース不足で追客しづらい仲介営業
不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2019年10月28日に実施した不動産情報サイト利用者意識アンケートによると、不動産売買の問い合わせから契約までにかかった期間が3ヶ月以上の割合が、2016年以降増加傾向にあります。営業担当者の業務範囲は多岐にわたりますが、その上1案件にかかる時間や手間が増えてきているということですね。このような状況が続くと、人的リソースに余裕がない会社では、特に追客業務が後手に回ってしまいがちです。ここでは、見込み顧客へのアプローチを効率化させる2つのサービスを紹介します。
Propo Cloud
「Propo Cloud」は広告宣伝費をかけてもそれに見合う集客ができない、集客しても成約に至らないなどの課題を抱える仲介営業のプロセスを効率化する、居住用中古マンションの売買営業に対応したクラウドサービスです。営業担当者に代わって自動で追客を行い、顧客に合った物件を提案します。顧客がメールを開封した時に通知を出したり、顧客がどの物件詳細を閲覧したかを表示したり、顧客がとった行動が一覧で見られるため、好みの分析や対応も容易になります。さらに独自に集約された物件データベースをそのまま利用できるので、営業マン自身が物件情報を入力する手間も不要です。
Propo Cloud【出典】Propo Cloudホームページより【URL】https://service.propo.co.jp/
KASIKA
見込み顧客のインターネット上の閲覧動向や、メールへの対応といった情報をリアルタイムで可視化する「KASIKA」は、不動産販売に最適化されていないマーケティングオートメーションツールと差別化を図るため、Webツールを使いなれていない営業担当者でも簡単に利用できるよう、視覚的に判断可能なデザインを採用したサービス。大手ポータルサイトとデータ連携を行っているので、顧客情報を自動で取り込むことができ、煩雑な入力の手間がありません。また、色分け表示で顧客の見込みを判断できる上に、顧客の興味や欲しい情報なども確認できます。さらに、反響があったタイミングで自動返信メールを即時で配信。他社に先駆けて顧客とアポイントを取ることも可能となります。
KASIKA【出典】KASIKAホームページより【URL】https://cocolive.co.jp/
交流会、電話・飛び込み営業…コストがかさむ新規開拓
自社の物件取扱い件数を増やすための方法として、新たな不動産業者との人脈づくりができる不動産業界の交流会は、全国各地で行われています。しかし参加する頻度が高ければ高いほど参加費や移動費などのコストがかさむといった課題があり、交流会以外の方法で新規の開拓を行うにしても、具体的な顧客や物件情報を介さず、ネットワークを広げるのはなかなか難しいのが現状です。そんな新規開拓を効率良く行うサービスがあります。
TRG(トラジ)
TRG(トラジ)は2019年7月16日にリリースされた、全国の不動産業の営業担当者同士をマッチングさせるアプリケーションです。アプリやWEB上で購入ニーズと売却ニーズをつなぎ合わせ、それぞれの取引実績や得意領域などの人物情報を見ながら出会うことができます。地域や会社名、店舗名で検索を行い、プロフィールが気になったユーザーにチャット申請を行うことができるので、時間や場所にとらわれずに親和性の高いユーザーとコンタクトをとることが可能。ニーズにマッチする業者が見つかるまで、リストを見ながらひたすら電話をかけていく従来の手法に比べて、より効率的かつ効果的に新規開拓を行うことができるのです。さらにTRGに登録している営業マンであれば、同サービスに登録されている物件情報を閲覧できるため、取扱い件数の拡大にもつながります。
また、物件情報資料を撮影したものをAI OCR(手書きの書類や帳票の読み取りを行い、データ化するOCRへAI技術を活用する新たなOCR処理)によってアプリ内への物件情報の掲載が効率良く行える機能もリリース予定。
TRG【出典】TRG紹介ページより【URL】https://trg-group.jp/
これからの不動産営業は、ITサービスを使って既存業務を効率化することに加えて「イイタン」や「TRG」が重視するような、個人のセルフブランディング力向上や信頼の積み重ねによっていかに他社と差別化していくか、という点が重視されるようになっていくのかもしれません。