残業が多いとはもう言わせない! 不動産業界の働き方改革を進めるサービス

- 年々残業時間が減少している不動産業界だが、他業界と比較するとまだまだ多い傾向にある。
- 定型業務を自動化させたり、オビ交換をスムーズに行なったりできるような、長時間労働を改善させるさまざまなサービスが登場している。
- 紹介したサービスを導入する会社が増えることは、働き方改革が推進されている証拠と言えるだろう。
他業界と比べ残業時間が長い不動産業界
2019年4月から「働き方改革関連法」が施行され、日本で本格的に始動した「働き方改革」。厚生労働省が公開している「働き方改革 特設サイト 中小企業も働き方改革」を見てみると、時短勤務やテレワークの活用など不動産業界を含め多くの業界が改革を推進しています。
しかし、オープンワーク株式会社が2020年1月16日に公開した「日本の残業時間 定点観測[ 四半期速報]」を見ると、不動産業界は計測開始の2014年1月〜3月の約64.5時間から年々減少傾向にあるものの、最新の2019年10月〜12月時点では約34.7時間の残業が発生しており、10種類の業種別で見るとコンサルティングとマスコミに続く3番目の長さとなっています。
事務作業の時間を短縮できるサービス
上記のような長時間労働の削減には、マンパワーによるアナログ業務をツールを活用してデジタル化し、業務効率の改善を図ることが必要になってくるでしょう。そこで今回は不動産仲介の営業・事務を担当される方におすすめの、作業時間を短縮できるツールをご紹介します。
フォレストPRO
株式会社オープンルームが提供している「フォレストPRO」は不動産業界特有の物件広告図面におけるオビ交換を効率化するサービスです。これまでは、物件情報が印刷された紙の他社のオビ部分を折り返し、自社のオビと差し替えてから再度印刷するという、煩わしく時間や手間の掛かる作業でしたが、フォレストPROは、それらの作業をソフトウェア上で完結。スキャンされたファイルをソフトウェアに読み込むことで、他社のオビを自社のオビに置換することができます。
また、一度読み込んだファイルはデータとして保存されるので、自社で簡単に編集・共有・検索ができ、顧客へのメール送信も可能です。2019年8月30日に配信されたプレスリリースによると本サービスを利用することで、顧客への物件提案に掛かる作業時間を最大80%近く削減できると試算されています。
フォレストPRO【出典】フォレストPRO紹介ページより【URL】https://forest.openrm.jp/
賃貸革命10
日本情報クリエイト株式会社が提供する「賃貸革命10」は、日々変化する賃貸管理形態にトータルで対応するソフトウェアです。
特徴としては、物件・契約管理、家賃の請求、入金処理などを一元管理して、情報処理のミスやロスを軽減。また、自社で運営しているホームページやポータルサイトへの物件情報の入力を一元化することによって作業時間を削減できます。扱う賃貸物件の数が増えても社員の仕事量を増やさずに済み、結果的にコストが抑えられることで、収益アップにつながります。
同社サイトに掲載されている導入事例には、全ての物件管理にエクセルを使用していた株式会社ソヴリックコーポレーションが賃貸革命10を導入したところ、別々に管理していた入金や送金表、入退去の状況などの物件のデータが一元化されて入力の手間やミスが減少したとあります。
賃貸革命10【出典】賃貸革命10紹介ページより【URL】https://www.n-create.co.jp/pr/product/kakumei-chintai/
WinActor®
RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーションの略)という言葉をご存知でしょうか? これは、簡単に言うとバックオフィスにおける定型業務をソフトウェアに組み込んだ目に見えないロボットが代行し、自動処理する概念です。
株式会社エヌ・ティ・ティ・データが提供している「WinActor®」は、プログラミングが不要のため誰でも手軽に扱うことが可能です。また導入までのハードルが低く、2018年12月には1,900社以上の企業が活用しています。WinActor®を導入することで導入前と比べ、約30%分の稼働時間の削減効果があるとしています。
ExcelやWord、Internet Explorerといった多くのアプリケーションに対応しているため、幅広い業務を効率化させることが可能。WinActor®のホームページでは、三井不動産レジデンシャルリースがWinActor®を導入しテナント契約書の作成や特定のオーナーに向けた月次レポートの作成といった業務で活用されているという導入事例が紹介されています。
上記のようなサービスを活用し、情報処理や定型業務をシステムに一括して任せることで、煩雑な業務を手放し、労働時間の短縮につなげることができます。
WinActor®【出典】WinActor®公式ホームページ より【URL】https://winactor.com/
不動産業者同士のコミュニケーションを効率化
ITの活用によって事務作業を効率化することも必要ですが、不動産業者同士のコミュニケーションなど、人が担わなければならない部分はまだまだあります。
同業他社への取引先開拓はいまだに電話やFAX、交流会への参加といったアナログな方法が主流です。
そんな中、アナログなコミュニケーションをオンラインで効率的に進められるサービスが登場しています。
オーナーズガーデンPro
株式会社リアンコネクションが提供している「オーナーズガーデンPro」は、物件を購入したい顧客を抱える営業マンと物件を売りたい営業マンなどをマッチングさせ、お互いの営業活動をオンライン化できる不動産業者専門のアプリケーションです。
新規の取引先を探したり、自身の求めている物件ニーズなどを発信したりして、その後の商談までワンストップで完結できます。オンライン上でのやりとりなので、今後取引ができそうな営業マンが遠方でも問題ありません。また、営業マンの情報は得意分野をはじめとした個人の特徴を記載する必要があるため、ミスマッチが防げます。さらに取引先である営業マンの取り扱っている物件や勤務先などの情報に変更があるたびに通知されるので、電話やメールなどで共有するといった業務が不要になります。
このように移動の手間や時間の掛かるアプローチ方法ではなく、オンラインでスマートにつながる営業サポートサービスによって、業務時間の短縮が期待できます。
オーナーズガーデンPro【出典】オーナーズガーデンPro公式ホーページより【URL】https://pro.owners-garden.com/
働き方改革を促進する不動産テック
今回4つのサービスを取り上げましたが、TRGやReDocSなど不動産の業務を助けるサービスは続々とリリース、改善が進んでいます。
このようなサービスの種類が数を増やし、導入する会社数が増えるということは、すなわち不動産業界にデジタルトランスフォーメーションを取り入れ、働き方改革に取り組んでいる会社が増えている証拠といえるのではないでしょうか。
SUMAVEでは今後も不動産業界の業務改善につながるサービスを追っていきますのでご期待ください。