【レポート】積水ハウスの「働き方改革セミナー」に学ぶ、社内IT化のポイント    

【レポート】積水ハウスの「働き方改革セミナー」に学ぶ、社内IT化のポイント

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【レポート】積水ハウスの「働き方改革セミナー」に学ぶ、社内IT化のポイント

はじめに

株式会社マイナビが、働き方改革のセミナーを開催しました。このセミナーで紹介された内容は、「業務を効率化するために、テクノロジーを導入すると、どんなメリットがうまれるか」です。その成果や事例が、セミナーでは語られました。この記事では当日のセミナー内容より、住宅メーカーである、積水ハウス株式会社の事例を紹介します。

積水ハウスは、ブロックチェーン技術を使った、不動産情報の管理システムを構築しています。株式会社bitFlyerと共同で、保険、銀行、不動産登記、マイナンバーなどの、ほかの業種との連携を目指した取り組みです(下記プレスリリースより)。

画像引用元:積水ハウスのHPより

プレスリリースによると、不動産業界でのブロックチェーン運用は日本初。この取り組みについて、ロイター通信は以下のような続報を伝えています。

ブロックチェーン技術を活用して不動産賃貸契約を実行する新たな「情報システム」を2018年夏以降に首都圏で稼働させる。不動産分野で同技術を駆使したシステムによる本格的なビジネス展開は、世界でも初めてとみられる。(2018年3月9日付記事)

ロイター通信の記事では、積水ハウスでIT業務部長を務める、上田和巳氏のコメントも紹介されていました。

不動産契賃貸契約がホテルを予約するような手軽さでできることを目指し、市場規模の拡大も期待している

上田氏は、日経ビジネスのインタビューにも応じています。5月17日付の記事によると、「ブロックチェーンを使い、不動産情報を管理する狙い」は、2つあるそうです。

1つは、賃貸契約の簡素化です。(中略)もう1つは、物件に住んでいただいている利用者に向けた、様々な情報提供を行うための基盤としての活用です

積水ハウスのブロックチェーンへの取り組みは、「IT活用への積極的な姿勢の表れ」の1つと考えられます。そんな積水ハウスが、IT活用による業務支援のセミナーに登壇しました。登壇したのは上田氏です。 

セミナーのテーマは、「IT部門が業務効率化に貢献するノウハウ紹介!セミナー」です。

積水ハウスの発表より、ITを使った業務効率化のヒントやポイントをダイジェストでお届けします。

積水ハウスの「全社最適によるITシステムの再構築プロジェクト」

「皆さんこんにちは。積水ハウスの上田和巳です。今日はよろしくお願いします。早速ですが、当社の働き方改革のきっかけからご紹介します。

1つは、社内で、「邸情報プロジェクト」と呼んでいるプロジェクトです。このプロジェクトは、「社内のデータベースを一元化して、働き方、ITシステムを再構築しましょう」というところを目指しています。

住宅(不動産)業界は、とにかく、人が動く業界です。たとえば、営業担当者は、お客様のところへ行って、「どんな家がいいですか」「どんな地域に住みたいですか」などをヒアリングします。アフターサポートの担当者は、お客様より、「扉の立て付けが気になる」と相談されたら、現場へ向かいます。

こうした業界において、ITの役割を考えるときに重要なことは、「ITで、人の業務をどうやってサポートするか」です。人の業務をどうIT化するか、ではありません。

もう1つ大事なことは、「現場のスタッフへの落とし込み」です。ここを徹底的に、私たちIT部門のメンバーで実践し、フォローすることで、効果を最大化していきます。具体的な事例でご紹介すると、iPad/iPhoneを導入した事例が代表的です」

45,000台のiPad/iPhone導入事例

「このときのテスト導入で、最初にやったことは、100名いるIT部門の全スタッフへのiPad配布です。このテスト導入でわかったポイントが、2つあります。

  1. 効果を出すためには全社員に付与したほうがいい
  2. 全員に持たせることでインフラとしての価値が大きな効果を生む

希望者のみに配布すると、持っていない人にだけ印刷物を用意したり、専用のアプリを開発したりすることになり、非効率であることもわかりました。

全社展開の段階になって対応したことは、「パスコードの設定」「全社展開用の新しいアプリ開発」などです。アプリ開発では、累計すると200本以上をリリースしました。公開後は、現場の声をどんどんと反映させて、バージョンアップを繰り返しました。

この取り組みのおかげで、減らせた残業は10から15時間くらいです。外出機会の少ない内勤のスタッフにおいても、9時間くらいの残業を減らせました」

消極的な声を打ち消す2つのポイント

「業務効率化の企画書を見て、ネガティブな意見をいう経営層はとても少ないものです。しかし、各部門、各部署にITを導入しようとすると、必ずいっていいほどに、現場のスタッフからネガティブな意見が聞こえてきます。たとえば、以下のような声です。

いままでこれでやってたので困る

うちの部署を巻き込まないでほしい

解決手段は、大きくわけて2つあります。

  1. 導入ゴールのイメージを全社員としっかり共有する
  2. 具体的な成果をあげる

この2つがともなわないと、結果的に、IT化の取り組みは失敗すると思っています。失敗が意味しているのは、「IT導入が自社に貢献しない」です。
 
導入ゴールのイメージ共有は、何も配慮をしないと、一般に、最前線の現場スタッフに正しく伝わらないものです。正しく伝わらないと、「ツールとしてのIT」は、全社員に浸透しません。

「現場監督の現場時間を50%以上確保しよう」という取り組みをしたときの話です。200くらいある全支店をまわり、現場監督の8割以上と直接、話をしました。

当時、現場監督からは、次のような意見が大半でした。

現場に行けっていわれても大変なんだよ

「何が大変なか」「このツール、IT技術を使ったらどうか」と提案すると、

それは、ここが使えるけど、こういうところがダメなんだよ

こうした現場監督の意見は、すべて聞いて回りました。本社のスタッフ部門に頼らず、現場の声をすべて吸い上げて、業務効率化に動いたのです。

その結果、1年間で「50%の現場時間」という目標を達成できました。こうした前例から、「業務効率化を目的としたIT導入の鍵は、社内のIT部門スタッフが全力で動くことにある」というのが、私たちの答えです。

IT部門以外のスタッフが主導して取り組みをすすめる場合、必ず、利害関係が生まれてしまいます。しかし、IT部門という「業務効率化をはかる専門の部門・部署」が主導することで、角が立ちにくいというメリットがあるのです。スタッフにも、経営層にも、客観的な意見をいいやすい、というメリットもあります」

まとめ

働き方改革を進めるうえで大事なことは、明確にした課題とゴールを全社員で共有することです。一方的な通達や、「ITツール入れました」という既成事実ではありません。

部門間に必要な調整には、「IT推進を目的とした部署、部門」の客観的な目線が必要だと思っています。効果を生み出すために、テクノロジーをどう使えばいいか。きちっと話す機会を設けて、最前線の現場スタッフにまで、落とし込むことも重要です。

現場から上がってくるフィードバックは、つねに、IT部門の社員が把握しなければいけません。こうした役割を実行するのに最適なのは、社内のIT部門なのです。積水ハウスで10年にわたりさまざまな取り組みを実施したうえでの、私の結論です。

企業内のIT部門が一歩前へ出て、他の部門の人たちよりもたくさん汗をかいてください。この汗によって、「IT化」「テクノロジー導入」の取り組みは、高い確率で成功へ導くことができるのです」

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