アメリカの不動産サイトTruliaがスゴイ…不動産マーケットの情報の透明性を考える

- マップ上で犯罪情報や通勤時間など“地域のようす”がわかるサービスTrulia
- 多くの情報をヒートマップで直感的に表示
- アメリカと日本の不動産検索サービスで異なる「情報の透明性」
犯罪率や各種価格、居住者情報まで。あらゆる情報が"見える化"されたサイトが世界へ波及すると、不動産業界はどう変革するのか――。
アメリカの不動産紹介サイトTrulia
アメリカの不動産サイトTrulia(トゥルーリア)が世界中にインパクトをもたらしています。Truliaは2005年に設立されて以降成長を続けており、日本でいうところのSUUMOやHOME’Sのような有名サービスの立ち位置です。アメリカと日本では不動産市場規模が異なりますが、アクセス数は先に述べたサービスの20倍にも及びます。
Truliaは、地域周辺の物件とその平均料金、価格推移はもちろん、犯罪率や交通量、学校までの距離、レストランの数、居住者の年齢層など、ありとあらゆる情報をGoogle マップ上でビジュアル化。画面上で直感的に“地域のようす”がわかるサービスを展開し、話題を呼んでいます。
サンフランシスコを例に見てみましょう。
マップ上の左から「Crime」「Schools」「Commute」「Shop&Eat」「Affordability」「Stats」「Hazards」「Live Well」とナビゲーションがクリックできるようになっています。
Crime(犯罪)をクリックすると、サンフランシスコの街が、レッドやイエロー、グリーンと色で分けられます。犯罪に関する統計情報のリストの代わりに、色分けされた犯罪密度ヒートマップが表示され、「道ひとつはさんだ向こう側は、赤色で危険」などの想定が事前に可能です。
Commute(通勤)をクリックすると、Driving(車)、Transit(電車)、Cycling(自転車)、Walking(徒歩)それぞれで移動時間を想定できます。これは、物件の位置から指定した場所まで移動する際、どのくらいの所要時間となるか、を移動手段別にヒートマップで直感的に把握できるようになっています。また、Affordability(手頃な価格) で見える価格帯のヒートマップは、分譲、賃貸などを分けて価格帯を表示できます。
その他、学校や飲食店、居住者の年齢層などのナビゲーション項目も、マップ上に直感的に表示されます。
アメリカと日本の不動産検索サービスの違い
Truliaのようなアメリカの不動産検索サービスでは、周辺地域の価格推移や売買の履歴、犯罪情報や近隣の学校の偏差値レベル、人種割合や授業内容まで、豊富な情報を誰でも無料で自由にインターネット上で確認することができます。
情報の透明性が非常に高いサービスなので、一般の消費者は時間とお金のかかる家探しを、信頼できるデータを見ながら進めることが可能です。個人と不動産会社の持つ情報に格差がなくなると、不動産会社は物件情報の提供よりもそれ以外のアドバイスや売主側との交渉など、目には見えないサービス提供に注力します。
一方、日本の最大の不動産情報サイトであるREINS(レインズ)は不動産業者専用です。一般の人は閲覧する事が出来ず、不動産業者が意図的に情報を掲載しない場合もあります。日本で物件を探す場合、ポータルサイトなどから閲覧できる物件情報は、価格や間取り程度に限られているため、不動産会社に頼らざるを得ません。
個人で得られる情報量が少なく、質が薄いので、頼んだ不動産会社が利益を上げるために何から何まで「上手くやられて」いたとしても分からない可能性もあります。
不動産マーケットの情報の透明性
Truliaで得られるような豊富な情報を日本で得ようとすると、犯罪情報は警視庁のサイトで、学校の偏差値レベルは都道府県別の偏差値情報で、など数多くの場所に情報を確認しに行かなければなりません。 アメリカと日本の不動産検索サービスを比較すると、個人が得られる情報量が圧倒的に違います。
今後、Truliaのような情報が集約されたサービス文化が日本国内に浸透していった場合、透明性が高い不動産マーケットが築かれていき、情報を公開しない不動産会社は淘汰されていくと考えられます。
一般消費者が住んでから感じる「あの時この情報教えてほしかったな…」といった悩みを抱える機会は減っていくでしょう。