不動産クラウドファンディングの源泉徴収を完全理解!税率・確定申告・還付のポイント



目次

不動産クラウドファンディングで源泉徴収される理由

不動産クラウドファンディングで分配金を受け取ると、あらかじめ税金が差し引かれている理由は、日本の税制と金融商品の仕組みに明確な根拠があるためです。これは投資家に不利な制度ではなく、むしろ税務処理を簡素化し、納税漏れを防ぐ目的で設計されています。

まず、不動産クラウドファンディングの分配金は、原則として「雑所得」に区分されます。多くの不動産クラウドファンディングは匿名組合契約の形態を採用しており、投資家は不動産そのものを所有するのではなく、事業から生じた利益の分配を受け取る立場になります。この分配金は給与所得や不動産所得とは異なり、利息や報酬に近い性質を持つため、雑所得として扱われます。

雑所得に該当する収入のうち、支払者が明確で定期的に支払いが行われるものについては、税務上「源泉徴収」が求められます。不動産クラウドファンディングでは、運営会社が投資家に代わって分配金を支払う立場にあるため、支払時点で所得税および復興特別所得税を差し引く義務があります。これにより、税金の一部は受取時点ですでに納付された状態になります。

この仕組みが採用されている理由の一つは、投資家自身が毎回税金を計算し、納付する手間を省くためです。源泉徴収がない場合、分配金を受け取るたびに投資家が所得を管理し、後からまとめて納税する必要が生じます。特に少額投資を複数のファンドで行う場合、税務管理が煩雑になりやすく、申告漏れのリスクも高まります。

また、国の立場から見ると、源泉徴収は安定した税収を確保する手段でもあります。支払者である運営会社を通じて税金を先に徴収することで、未申告や未納付を防ぎ、税務の透明性を保つことができます。この考え方は、銀行預金の利息や株式の配当金と同様であり、不動産クラウドファンディングだけが特別に厳しい扱いを受けているわけではありません。

源泉徴収が行われることで、投資家は分配金を「手取り額」で把握できるようになります。一方で、源泉徴収はあくまで仮の税額であり、個人の所得状況によっては払い過ぎになっているケースもあります。その場合、確定申告を行うことで還付を受けられる可能性がありますが、源泉徴収そのものは投資家を不利にする制度ではなく、税務処理を簡略化するための前提条件といえます。

不動産クラウドファンディングの源泉徴収は、投資家から税金を多く取るための仕組みではなく、納税の手間を減らし、税務をシンプルにするためのものです。まずは手取りでいくら受け取れるのかを把握し、その上で確定申告が必要かどうかを判断することが大切です

源泉徴収される税率と内訳

不動産クラウドファンディングで受け取る分配金は、受取時点で源泉徴収が行われます。投資家が個別に納税手続きをしなくてもよいよう、あらかじめ税金が差し引かれる仕組みです。この源泉徴収の内容を正確に理解しておくことは、手取り額の把握や確定申告の判断に直結します。

源泉徴収率は一律20.42%

不動産クラウドファンディングの分配金に対する源泉徴収率は、原則として20.42%です。この税率は多くのプラットフォームで共通しており、投資家ごとの年収や所得状況に関係なく、一律で適用されます。

20.42%という数字は一見すると分かりにくいですが、これは複数の税金を合算した結果です。

税率の内訳は所得税と復興特別所得税

源泉徴収される20.42%の内訳は、以下の2つで構成されています。

  • 所得税:20%
  • 復興特別所得税:0.42%

復興特別所得税は、所得税額に対して2.1%を上乗せする形で計算されます。

所得税20% × 2.1% = 0.42%
このため、合計で20.42%となります。

分配金は受取時点で自動的に控除される

不動産クラウドファンディングでは、分配金が投資家の口座に振り込まれる前に、運営会社が税金を差し引いています。そのため、実際に入金される金額は「税引後の金額」です。

例えば、5万円の分配金が発生した場合、
5万円 × 20.42% = 10,210円
が源泉徴収され、
手取り額は39,790円となります。

この時点で所得税と復興特別所得税は納付済みの扱いになるため、原則として追加で所得税を納める必要はありません。

税率が高く感じられる理由と注意点

源泉徴収率20.42%は、給与所得者の実効税率と比べると高く感じる方も多いかもしれません。しかし、これはあくまで「仮払い」の性質を持つ税金です。

実際の所得税率が20%未満の方は、確定申告を行うことで源泉徴収され過ぎた税金が還付される可能性があります。一方で、課税所得が高く20%を超える税率が適用される方の場合は、確定申告をすると追加で納税が必要になるケースもあります。

住民税は源泉徴収に含まれない点に注意

ここで重要なのは、20.42%の源泉徴収には住民税が含まれていない点です。

住民税は別途課税されるため、確定申告や住民税申告の状況によっては、後から住民税の支払いが発生します。

源泉徴収だけで「すべての税金が完結する」と誤解すると、後日思わぬ納税が必要になる場合があるため注意が必要です。

手取り利回りで判断する意識が重要

不動産クラウドファンディングでは、表面利回りだけでなく、源泉徴収後の手取りベースで利回りを確認することが重要です。

分配金が確定している案件であっても、税引後の実質的な収益は約2割減少するため、他の投資商品と比較する際も税金を考慮した判断が欠かせません。

不動産クラウドファンディングの源泉徴収は一律でシンプルですが、税率の意味を理解しておくことで、手取り額や確定申告の判断が一気にクリアになります。税金込みで投資成果を見られるようになると、投資判断の精度も自然と上がりますよ

源泉徴収されると確定申告は不要?

不動産クラウドファンディングの分配金は、受け取り時点で原則20.42%の源泉徴収が行われます。そのため「すでに税金を引かれているなら、確定申告は不要なのでは」と考える投資家は少なくありません。結論から言うと、原則としては確定申告不要ですが、条件によっては必ず申告が必要になります

まず基本ルールとして、不動産クラウドファンディングの分配金は雑所得に区分されます。この雑所得は、年間の合計額が20万円以下であり、かつ給与所得者で年収2,000万円以下など、もともと確定申告義務がない人であれば、所得税の確定申告は不要とされています。源泉徴収によって納税が完結しているため、手続きの手間がかからない設計です。

一方で、次のようなケースでは源泉徴収されていても確定申告が必要になります。

  • 不動産クラウドファンディングを含む雑所得の合計が年間20万円を超える場合
  • 個人事業主やフリーランスなど、もともと確定申告が義務付けられている場合
  • 年収2,000万円を超える会社員など、所得区分に関係なく申告義務がある場合

特に注意したいのは「20万円ルール」の誤解です。この20万円は、不動産クラウドファンディング単体ではなく、原稿料や副業収入、FXや暗号資産取引など、他の雑所得と合算した金額で判断します。不動産クラウドファンディングの分配金が少額でも、他の雑所得がある場合は合計で基準を超える可能性があります。

また、源泉徴収されているからといって、確定申告をしない方が得とは限りません。本来の所得税率が20%未満の人は、確定申告をすることで税金が還付される可能性があります。給与所得が低めで、基礎控除や各種所得控除が十分に使える場合、源泉徴収された税金が「払い過ぎ」になっているケースがあるためです。

一方で、所得が高い投資家の場合は注意が必要です。不動産クラウドファンディングの雑所得は総合課税の対象となるため、確定申告をすると給与所得などと合算され、結果として追加で税金を納めることになるケースもあります。源泉徴収があるから安心と考えず、自身の所得状況全体を見て判断することが重要です。

なお、住民税については別の視点が必要です。所得税の確定申告が不要な場合でも、自治体によっては住民税の申告が求められることがあります。申告漏れがあると、後から追徴課税を受けるリスクもあるため、居住地のルールは必ず確認しておきましょう。

源泉徴収されているからといって一律に確定申告が不要になるわけではありません。雑所得の合計額やご自身の所得状況によって、申告が必要な場合も、あえて申告した方が得になる場合もありますので、一度立ち止まって全体像を確認することが大切です

確定申告で還付されるケースとは

不動産クラウドファンディングでは、分配金の受取時点で20.42%が源泉徴収されています。そのため一見すると「すでに税金は完結している」と感じやすいですが、確定申告を行うことで、払い過ぎた税金が戻ってくるケースがあります。還付の有無を左右するのは、源泉徴収時の税率と、最終的に計算される自身の実効税率との差です。

本来の所得税率が20%未満の場合

源泉徴収は一律20%の所得税を前提に行われています。しかし、日本の所得税は累進課税であり、課税所得が低いほど税率は下がります。課税所得が一定水準未満であれば、本来の税率は10%や5%となるため、源泉徴収された税金は過払いの状態になります。

具体的には、課税所得が695万円未満の場合、所得税率は20%以下です。この場合、確定申告を行うことで、源泉徴収との差額が還付される可能性があります。

給与所得が低めで控除が多い場合

給与所得者であっても、各種控除が多い場合には還付が発生しやすくなります。基礎控除や社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除などにより課税所得が圧縮されると、実効税率が下がるためです。

特に以下のような方は、源泉徴収されたままにせず、確定申告を検討する価値があります。

  • 年収が比較的低く、基礎控除の影響が大きい人
  • 扶養家族がいて配偶者控除や扶養控除を受けている人
  • 医療費控除や住宅ローン控除を適用する年

これらの控除を反映させた結果、実際に負担すべき税額が源泉徴収額を下回れば、その差分が還付されます。

雑所得同士の損益通算ができる場合

不動産クラウドファンディングの分配金は原則として雑所得に区分されます。雑所得は同じ雑所得内であれば損益通算が可能です。

たとえば、FXや暗号資産取引などで損失が出ている場合、不動産クラウドファンディングの利益と相殺できます。相殺後の雑所得が減少すれば、結果として課税所得が下がり、源泉徴収された税金の一部が還付される可能性があります。

雑所得が基礎控除内に収まる場合

所得がほぼ不動産クラウドファンディングの分配金のみであり、年間の合計所得が基礎控除額以内に収まる場合、本来は所得税がかからない状態になります。それにもかかわらず、分配金からは一律で源泉徴収が行われているため、確定申告をすれば原則として全額または大部分が還付されます。

副業的に少額投資をしている人ほど、このケースに該当しやすい点は見落とされがちです。

還付されない、または追加納税になるケースもある

一方で、確定申告をすれば必ず得をするわけではありません。給与所得や他の所得と合算した結果、課税所得が695万円を超える場合は、本来の税率が20%を上回ります。この場合、源泉徴収された税額では不足となり、追加で納税が発生する可能性があります。

そのため、確定申告を行う前に「自分は還付される側なのか、それとも追徴される側なのか」を事前にシミュレーションしておくことが重要です。

不動産クラウドファンディングは源泉徴収されているから安心と思われがちですが、実は確定申告をするかどうかで結果が大きく変わることがあります。自分の所得水準や控除内容を一度整理して、還付の可能性があるかを冷静に確認してみることが大切です

源泉徴収されても注意すべき住民税

不動産クラウドファンディングでは、分配金の受取時に所得税と復興特別所得税が源泉徴収されるため、「税金の手続きはすべて終わっている」と誤解されがちです。しかし、源泉徴収で完結するのはあくまで国税であり、住民税については別途注意が必要です。

住民税は源泉徴収の対象外になる

不動産クラウドファンディングの分配金は、原則として雑所得に区分されます。この雑所得に対する源泉徴収は国税のみを対象としており、住民税は含まれていません。そのため、所得税が自動的に差し引かれていても、住民税については未処理の状態になるケースがあります。

特に、確定申告を行わない投資家の場合、住民税の課税情報が自治体に正しく伝わらず、後日になって住民税の申告漏れを指摘されるリスクがあります。

確定申告不要でも住民税申告が必要なケース

所得税の確定申告が不要とされる条件に該当していても、住民税については別途申告が求められる場合があります。代表的なのは、給与所得者で雑所得が20万円以下の場合です。

この場合、所得税の確定申告は不要ですが、住民税には「20万円以下の特例」は適用されません。そのため、分配金が少額であっても、住民税の申告対象になる可能性があります。

自治体ごとに異なる住民税の申告ルール

住民税の取り扱いは、市区町村や都道府県によって細かな運用が異なります。具体的には、以下のような点で違いが見られます。

  • 雑所得の申告が必要となる金額基準
  • 所得税の確定申告書を住民税申告として兼ねるかどうか
  • 申告期限や提出方法の違い

そのため、全国共通のルールとして一律に判断することはできず、居住地の自治体が定める申告要件を確認することが重要です。

申告漏れによる追徴課税のリスク

住民税の申告が漏れた場合、後日自治体から指摘を受け、追徴課税や延滞金が発生する可能性があります。金額自体は大きくなくても、「意図しない未申告」として心理的な負担になることも少なくありません。

また、住民税は翌年度に課税されるため、時間が経ってから請求が来るケースも多く、資金管理の面でも注意が必要です。

住民税対策として意識すべきポイント

源泉徴収があるからといって安心せず、住民税についても事前に把握しておくことが重要です。具体的には、次の点を意識しておくとリスクを抑えられます。

  • 分配金は金額に関わらず記録を残しておく
  • 確定申告を行う場合は住民税も自動的に反映されることを理解する
  • 確定申告を行わない場合は、住民税申告の要否を自治体に確認する

こうした対応を取ることで、後から想定外の税負担が発生する事態を防ぐことができます。

源泉徴収がある不動産クラウドファンディングでも、住民税は別管理になる点が落とし穴です。確定申告をしない場合ほど、自治体への申告が必要かどうかを一度確認しておくと安心できます

匿名組合型と任意組合型の税務上の違い

不動産クラウドファンディングでは、同じ「分配金」を受け取る仕組みであっても、契約形態によって税務上の扱いが大きく異なります。特に重要なのが、主流である匿名組合型と、一部で採用されている任意組合型の違いです。ここを理解していないと、源泉徴収の有無や確定申告の必要性、さらには損益通算の可否で想定外の不利益が生じる可能性があります。

匿名組合型の税務上の位置づけ

匿名組合型は、不動産クラウドファンディングで最も多く採用されている契約形態です。この方式では、投資家は事業者に対して出資を行い、その事業成果に応じた分配金を受け取りますが、不動産そのものの所有権は持ちません。

税務上、匿名組合型で得られる分配金は原則として雑所得に区分されます。そのため、分配金の支払時点で20.42%の源泉徴収が行われ、投資家は税引き後の金額を受け取る形になります。

この仕組みにより、以下のような特徴があります。

  • 分配金は雑所得として扱われる
  • 支払時に源泉徴収が行われる
  • 原則として不動産所得には該当しない

雑所得であるため、現物不動産投資のように減価償却による節税効果は期待できません。また、赤字が出た場合でも、給与所得や事業所得との損益通算はできず、税務上の調整余地は限定的です。匿名組合型は、税務処理がシンプルで初心者でも扱いやすい反面、節税を目的とした投資には向かない構造といえます。

任意組合型の税務上の位置づけ

一方、任意組合型は、投資家と事業者が共同で事業を行う形態です。この場合、投資家は不動産の持分を実質的に保有することになり、税務上の扱いも大きく変わります。

任意組合型では、分配金が不動産所得として扱われるケースがあります。不動産所得に該当すると、匿名組合型とは異なり、原則として分配金の受取時に源泉徴収は行われません。

この結果、次のような違いが生じます。

  • 所得区分が不動産所得になる可能性がある
  • 分配金に源泉徴収が行われない場合が多い
  • 確定申告が前提となる

不動産所得として認められた場合、必要経費や減価償却を計上できるため、所得金額を圧縮できる可能性があります。また、条件を満たせば、給与所得や事業所得との損益通算も検討できる点は、匿名組合型にはない特徴です。

ただし、任意組合型は税務上の自由度が高い一方で、申告や管理の負担が増えます。さらに、優先劣後構造が採用されないケースが多く、投資家が負うリスクは匿名組合型より大きくなる傾向があります。

源泉徴収と確定申告の実務上の違い

匿名組合型では源泉徴収が行われるため、分配金の受け取り時点で税金が精算された状態になります。一定の条件を満たせば確定申告が不要となり、投資後の手間を抑えたい投資家にとってはメリットです。

一方、任意組合型では源泉徴収が行われないため、確定申告が必須となります。その分、所得全体を見たうえで税率が適用されるため、所得状況によっては税負担を抑えられる可能性がありますが、申告漏れや計算ミスのリスクも高まります。

投資目的によって選ぶべき契約形態は異なる

税務面だけを見ると、任意組合型は柔軟性が高く、節税や相続対策に活用できる余地があります。しかし、その分リスク管理や税務処理の難易度は上がります。匿名組合型は、源泉徴収による簡便さとリスク管理のしやすさを重視した設計であり、安定的なインカムゲインを目的とする投資家に向いています。

契約形態の違いは、単なる仕組みの差ではなく、税金のかかり方や投資後の負担に直結します。表面的な利回りだけで判断せず、自身の所得状況や投資目的に合った形態を選ぶことが重要です。

匿名組合型は手間が少なく分かりやすい一方で、税務上の選択肢は限られます。任意組合型は申告や管理が前提になりますが、その分、税務設計の幅が広がる可能性があります。どちらが有利かは人によって異なるので、投資前に税金の扱いまで確認しておくことが大切です

法人で投資した場合の源泉徴収の考え方

法人が不動産クラウドファンディングに投資する場合、税務上の扱いは個人投資家と大きく異なります。検索される方の多くは「法人でも分配金に源泉徴収はかかるのか」「その税金は最終的な負担になるのか」「法人化すると本当に有利なのか」といった実務的な疑問を抱えています。このセクションでは、その疑問を一つずつ整理します。

まず押さえるべき点として、法人が受け取る不動産クラウドファンディングの分配金についても、匿名組合型であれば原則として源泉徴収が行われます。これは受取人が個人か法人かに関わらず、分配時点で一定の税金を差し引くという制度設計になっているためです。そのため、法人であっても分配金の受取時には20.42%相当額が差し引かれ、手取り額で入金されます。

ただし、この源泉徴収された税金の意味合いは、個人と法人では異なります。個人の場合、源泉徴収された所得税がそのまま最終的な納税となるケースが多い一方で、法人の場合はあくまで「仮払いの税金」という位置付けになります。法人では、事業年度終了後に法人全体の損益を集計し、法人税額を計算したうえで精算を行うためです。

法人投資における基本的な流れは次のようになります。

  • 分配金受取時に源泉徴収が行われ、税引後の金額が入金される
  • 源泉徴収された税額は、会計上「仮払法人税等」として処理する
  • 決算時に法人全体の利益をもとに法人税額を算出する
  • すでに源泉徴収されている税額を差し引き、過不足を精算する

この仕組みにより、法人の場合は源泉徴収された税金がそのまま確定するわけではありません。法人全体で赤字の場合や、他の経費・損失と相殺される場合には、源泉徴収された税金が還付されることもあります。逆に、法人全体の利益が大きい場合には、追加で法人税を納付するケースもあります。

ここで重要なのが、法人税率との関係です。個人の所得税は累進課税であり、所得が増えるほど税率が上がり、最大で45%に達します。一方、法人税は一定の税率構造で、特に中小法人では年800万円以下の所得に対して比較的低い税率が適用されます。そのため、個人の課税所得が高い層では、法人を通じて投資することで、最終的な税負担を抑えられる可能性があります。

また、法人で投資する場合は、不動産クラウドファンディングの分配金だけでなく、他の事業収益や経費と通算できる点も実務上の大きなポイントです。法人では、次のような支出や損失と合わせて全体の利益を調整できます。

  • 会社運営にかかる各種経費
  • 他事業で発生した赤字
  • 専門家報酬や管理コスト

これにより、単発の分配金収入だけを切り取って税金を考える必要がなくなり、より柔軟な税務設計が可能になります。

一方で注意点もあります。法人で投資したからといって、必ずしもすべてのケースで有利になるわけではありません。法人設立や維持には、登記費用、税理士報酬、申告コストなどの固定費が発生します。分配金額が小さい場合や投資規模が限定的な場合には、これらのコストがメリットを上回る可能性もあります。

そのため、法人投資は「源泉徴収されるかどうか」だけで判断するのではなく、投資規模、他の所得状況、法人全体の収支を踏まえて検討することが重要です。源泉徴収はあくまで途中経過であり、最終的な税負担は決算と申告で決まるという視点を持つことが、法人投資で損をしないための基本となります。

法人での源泉徴収はゴールではなく通過点です。分配金に税金が引かれても、決算で精算される仕組みを理解しておくと、法人投資の本当のメリットと注意点が見えてきます

源泉徴収を理解して損しない投資判断をするコツ

不動産クラウドファンディングの分配金は、受取時点で原則20.42%が源泉徴収され、手取りで入金されます。
この「最初から税金が引かれる」仕組みはラクに見える一方で、理解が浅いまま投資すると、利回りの見誤りや申告漏れ、還付取りこぼしが起きやすいポイントでもあります。

表面利回りではなく手取り利回りで比較する

広告や案件ページで目にする利回りは、税引前を前提としていることが多いです。投資判断は「手取りベース」で揃えると、商品比較の精度が一段上がります。

  • 税引前利回り → 参考値(案件の稼ぐ力)
  • 税引後利回り(手取り)→ 実感値(あなたのキャッシュフロー)

特に、分配が毎月・四半期など複数回ある案件は、受取りのたびに源泉徴収されるため、想定より「増え方が遅い」と感じやすいです。最初から手取りで見積もるとブレません。

「確定申告いらない」と決めつけず、申告要否を先に判定する

源泉徴収があるため「原則として確定申告は不要」とされる場面はありますが、誰でも常に不要という意味ではありません。
投資前に、次の2点だけは先にチェックしておくと安全です。

  • 自分がそもそも確定申告が必要な立場か(個人事業主、年収が高い、医療費控除などで申告する予定がある等)
  • 雑所得の合計が年間20万円を超える見込みか(ここでいう「20万円」は売上ではなく所得側の判定が絡むため、他の副収入も合算して整理するのが確実です)

「投資してから気づく」と、書類集めや集計が面倒になり、ミスも増えます。投資判断の一部として、申告要否の分岐を最初に置くのがコツです。

還付の可能性がある人は、利回りが実質的に上がる

源泉徴収は一律で引かれる仕組みですが、あなたの本来の所得税負担とズレる場合があります。ズレが「引かれすぎ」側なら、確定申告で還付につながる可能性があります。
つまり、同じ案件でも「還付を取りに行ける人」は実質的に手取りが増え、投資効率が変わります。

ただし、還付だけを目的に投資を選ぶと本末転倒になりやすいです。還付はあくまで“起きたらプラス”の扱いにして、案件自体のリスク・分配原資・運用方針を優先してください。

住民税の論点を落とさない

源泉徴収は主に所得税側の話で、住民税は別管理です。所得税の「20万円以下なら申告不要」とは切り分けて考える必要があり、住民税は別途の申告が必要になるケースがある点がよく落とし穴になります。
投資判断としては、「自治体のルール差があり得る=後から追加対応が発生し得る」という前提で、年末に慌てない体制を作るのが重要です。

契約形態で“税務のクセ”が変わる前提で、案件を分類する

不動産クラウドファンディングは、同じ“クラファン”でも契約形態やスキームで税務上の扱いが変わり得ます。
投資判断の実務では、案件を「同じ箱」に入れて比較しないのがコツです。

  • 匿名組合型で分配金が雑所得として扱われるケース(典型例)
  • 任意組合型などで扱いが変わり得るケース(損益の扱い・申告の考え方が変わる余地)

同じ利回り表示でも、税務の手間・損益の見え方・住民税処理の体感コストが変わります。案件比較表を作るなら、利回り・期間に加えて「税務区分(想定)」「源泉徴収の有無」「書類の出方(支払調書等)」を列に入れると、後悔が減ります。

“管理コスト”を織り込んで、投資先を選別する

IT視点で重要なのは、税金そのものより「手間の発生源」を潰すことです。投資判断の段階で、運営の情報設計を見ます。

  • 年間取引報告や支払関連資料がまとまって出るか
  • 分配履歴がCSV等で落とせるか、画面で追えるか
  • 複数ファンドを持っても集計しやすいUIか

同じ利回りでも、管理がラクなプラットフォームのほうが継続投資に向きます。税務は毎年発生するため、「手離れの良さ」はリスク管理の一部です。

最後は「税引後の資産形成ストーリー」で判断する

源泉徴収を理解すると、投資判断が“税金のクイズ”から“資産形成の設計”に戻ります。見るべきは、税引後で次の3点が成立しているかです。

  • 分散(案件・運営・期間が偏っていない)
  • 流動性(資金拘束と生活防衛資金のバランスが崩れていない)
  • 税務の再現性(自分の申告・管理の運用で回せる)

源泉徴収は、あなたの利益を守る仕組みでもあり、同時に“手取り視点を持て”というサインでもあります。

源泉徴収は「勝手に引かれるから放置でOK」じゃなくて、「手取りで見て、申告の分岐を先に潰して、管理しやすい投資先に寄せる」ためのヒントです。税引後で比較できるようになると、投資判断の精度が一気に上がりますよ

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8位FUNDROP(ファンドロップ)ONE DROP INVESTMENT 株式会社劣後出資割合の高い案件が多いが、投資機会は少なめ39件5.66%5.50%5.80%119.09%10,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、収支シミュレーション、面積、容積率、用途地域、事業内容52円(楽天銀行)、150円(他の金融機関で3万円未満)、229円(他の金融機関で3万円以上)2013年100,000,000円×公式サイト
9位Jointoα(ジョイントアルファ)穴吹興産株式会社低リスク案件が多いが、投資の機会は限定的43件3.25%3.00%5.00%99.98%100,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション、商業施設×築年数、住所、運営会社、財務情報、面積、容積率、用途地域、事業内容無料1964年755,790,000円公式サイト
10位ちょこっと不動産株式会社良栄劣後出資割合の高い案件が多く、運営も安定傾向10件4.00%3.90%4.30%100.00%10,000円先着匿名組合型戸建、アパート・マンション、商業施設、オフィス×築年数、住所、運営会社、財務情報、収支シミュレーション、面積、事業内容、建築確認番号無料(GMOあおぞらネット銀行)、145円(その他の金融機関)1991年389,820,000円×公式サイト
11位property+(プロパティプラス)株式会社リビングコーポレーション募集口数は平均的だが、新規案件がなかった点が課題34件3.20%3.00%3.40%100.00%10,000円先着匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、財務情報、面積、容積率、用途地域、事業内容無料2015年100,000,000円公式サイト
12位ASSECLI(アセクリ)株式会社エボルゾーン高利回り案件が多いが、新規提供数は限られる45件-0.00%0.00%105.85%10,000円先着匿名組合型アパート・マンション×事業内容無料×2011年100,000,000円×公式サイト
13位LIFULL(ライフル)株式会社LIFULL大手不動産会社のクラウドファンディング。厳選された物件3件5.83%5.50%6.00%105.67%10,000円抽選匿名組合型アパート・マンション・グループホーム×築年数、住所、運営会社、面積、容積率、用途地域、事業内容無料×1997年9,723,000,000円公式サイト
14位みんなの年金株式会社ネクサスエージェント」「公的年金に合わせた2ヵ月ごとの分配金」が特徴の、不動産クラウドファンディング290件8.00%8.00%8.00%100.00%10,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション×住所、物件種別、アクセス、構造、総戸数、家賃保証有無無料×2016年100,000,000円公式サイト
15位利回り不動産株式会社ワイズホールディングス高水準の利回り案件が豊富で、投資のチャンスも平均以上-----10,000円先着、抽選匿名組合型戸建、アパート・マンション×築年数、住所、収支シミュレーション、面積、容積率、用途地域、事業内容無料(GMOあおぞらネット銀行)、145円(他行あて)2023年100,000,000円×公式サイト
16位らくたま株式会社日本保証リスクを抑えつつ高いリターンを狙える案件が多く、供給数も充実-----10000円先着、抽選匿名組合型戸建、商業施設、オフィス築年数、住所、面積無料(GMOあおぞらネット銀行)×2008年100,000,000円公式サイト
17位GALA FUNDING(ガーラ ファンディング)株式会社FJネクストホールディングス運営基盤が堅実で、劣後出資割合が高めの安心感ある案件が中心-----10,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、財務情報、収支シミュレーション、面積、容積率、事業内容、建築確認番号無料(GMOあおぞらネット銀行)、145円(他行宛て)1980年2,774,400,000円公式サイト
18位トモタク株式会社イーダブルジー新規募集数は業界トップクラスで、高利回り案件が目立つ-----100,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション、オフィス×築年数、住所、収支シミュレーション、面積、容積率、用途地域、事業内容1回のみ無料(125円(GMOあおぞらネット銀行)、250円(GMOあおぞらネット銀行以外))2009年100,000,000円×公式サイト
19位LSEED(エルシード)株式会社LSEEDリスクとリターンのバランスは良好だが、案件数はやや少なめ-----10,000円先着匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、面積、事業内容不明×1999年706,139,500円公式サイト
20位トーセイ不動産クラウドトーセイ株式会社1万口超の大型案件が主体で、年間の提供数は限定的-----10,000円先着匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、面積、容積率、用途地域、接道状況、事業内容無料(GMOあおぞらネット銀行)、129円(その他金融機関)1950年6,624,890,000円公式サイト
21位KORYO Funding(コウリョウ ファンディング)株式会社興陵安定したバランス型案件が揃う一方で、全体の件数は少ない-----100,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、財務情報、収支シミュレーション、面積、容積率、事業内容無料×1981年371,980,200円公式サイト