不動産クラウドファンディングの確定申告と還付の完全整理ガイド。税金を払いすぎないための必須ポイント



目次

不動産クラウドファンディングの分配金が課税対象となる理由

不動産クラウドファンディングで受け取る分配金は、税法上「雑所得」に分類されます。分配金は投資によって得られた利益である以上、所得として扱われ、課税対象となります。金融商品ごとの課税方式は異なりますが、不動産クラウドファンディングは総合課税方式が適用される点が特徴です。

分配金が雑所得として扱われる背景

不動産クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法に基づいて複数の出資者がファンドに資金を拠出し、運用益に応じて分配金を受け取る仕組みです。

分配金は「出資による収益」であり、投資によって得た利益であるため、給与や事業所得などと同様に所得税法の対象になります。

雑所得に分類される理由としては以下が挙げられます。

  • 出資者が事業者として不動産を直接運用しているわけではない
  • 分配金は不動産賃料や売却益を出資比率に応じて受け取る仕組み
  • 不動産所得(家賃収入)ではなく、あくまでファンド利益の配当的性質である

このため、不動産クラウドファンディングの分配金は「その他の収入」として雑所得に分類されます。

総合課税が適用される仕組み

雑所得は原則として総合課税となり、給与所得や事業所得など他の所得と合算して税率が決まります。

税率は一律ではなく、課税所得に応じて5%〜45%の累進課税です。

分配金は源泉徴収によって20.42%が差し引かれた状態で振り込まれますが、これはあくまで「仮の税額」です。

確定申告を行うことで、実際に適用される税率と比較し、過不足があれば調整されます。

株式投資や投資信託とは課税方法が異なる点

同じ“投資で得る利益”でも、不動産クラウドファンディングは株式や投資信託と税の扱いが明確に異なります。

  • 株式の売却益や配当金 → 申告分離課税(通常20.315%)
  • 投資信託の分配金 → 分離課税または総合課税を選択できる
  • 不動産クラウドファンディング → 雑所得として総合課税

分離課税であれば他の所得と合算されないため税率が一定ですが、不動産クラウドファンディングは総合課税となるため、所得が増えるほど税率も上がります。

ただし、総合課税であるということは、給与所得が比較的少ない人ほど税率が低くなり、源泉徴収された20.42%より税率が下回る場合には還付を受けられるメリットがあります。

源泉徴収20.42%が自動的に引かれる理由

不動産クラウドファンディングの事業者は、投資家に代わって所得税を源泉徴収し、税務署へ納付する義務があります。

これは法律上決められた取り扱いであり、出資者が個別に税金を支払う必要はありません。

源泉徴収される税率は20.42%で、内訳は以下のとおりです。

  • 所得税:20%
  • 復興特別所得税:0.42%(2037年まで)

そのため、受け取る分配金は「税引後」となりますが、税率はあくまで暫定のため、確定申告によって還付が発生する場合があります。

まとめて理解すると分配金が課税対象になる理由が明確になる

不動産クラウドファンディングの分配金が課税対象になるのは、投資で得た利益とみなされ、雑所得として総合課税の対象になるためです。

株式のように分離課税ではなく、他の所得と合算して税率が決まる点が大きな特徴です。源泉徴収はあくまで仮の税額であり、確定申告の有無によって税負担が変わる可能性があります。

分配金は雑所得として総合課税の対象になるので、源泉徴収のまま放置せず、自分の年収帯に応じて確定申告するか判断すると税負担を減らせますよ

確定申告が必要となる主なケース

不動産クラウドファンディングの分配金は源泉徴収されているため、一見「確定申告は不要」に思われがちです。しかし、所得状況や投資の組み合わせによっては、申告が必須となるケースがあります。ここでは、申告の必要性を判断するうえで特に重要なポイントを整理します。

雑所得の年間合計が20万円を超える場合

不動産クラウドファンディングの分配金は雑所得に分類され、年間の雑所得合計が20万円を超えると確定申告が必要になります。判断の際は、クラウドファンディングだけでなく以下のような収入も含めた「合算額」で確認します。

  • 副業収入(事業ではなく雑所得扱いのもの)
  • 他社クラウドファンディングの分配金
  • FX・暗号資産・ポイント活動など雑所得に含まれる収益

特に複数の投資サービスを利用していると、自分では気付きにくいまま20万円を超えてしまうケースが多いため、年間の収益をまとめて管理することが重要です。

すでに確定申告が必要な立場の人

所得金額や働き方によっては、もともと確定申告が義務づけられているケースがあります。その場合、不動産クラウドファンディングの所得も例外なく申告対象です。金額の大小にかかわらず申告漏れになるため注意が必要です。

  • 個人事業主・フリーランス
  • 給与所得が年2,000万円を超える会社員
  • 2か所以上の会社から給与を受け取っている人
  • 不動産所得などで毎年確定申告をしている人

「雑所得が20万円以下なら申告不要」というルールは、確定申告義務のない給与所得者にだけ当てはまる点を押さえておきましょう。

複数のクラウドファンディングや副業を合算すると20万円を超えるケース

1つのサービスの収益だけでは20万円未満でも、他の雑所得と合算すると申告基準を超えるケースは非常に多くあります。

たとえば、以下のようなパターンです。

  • A社クラファン:12万円
  • B社クラファン:5万円
  • 副業の雑所得:6万円

この場合、合計23万円となり確定申告が必要です。

複数サービスを利用している投資家ほど、年間収益を分散して受け取りやすく、収入の全体像が把握しづらくなるため、年末にまとめて確認する仕組みをつくっておくことが有効です。

住民税の申告が別途必要となるケース

雑所得が20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告が必要となるケースがあります。自治体により扱いが異なるため一般化はできませんが、原則として「雑所得がある場合は住民税の申告が必要」と考えておくと安心です。

特に注意が必要なのが会社員の場合です。住民税の申告をしないまま無申告で放置すると、税務署や自治体から問い合わせが来ることがあるため、20万円以下のケースでも確認を忘れないようにしましょう。

源泉徴収された税率より自身の税率が低い場合(還付目的の自主申告)

確定申告が義務ではない場合でも、「申告したほうが得」になるパターンがあります。

不動産クラウドファンディングの分配金には20.42%の源泉徴収が行われますが、適用される税率がこれより低い人は、確定申告をすることで払いすぎた税金が戻る場合があります。

たとえば課税所得が以下の層の人は、源泉徴収されている税率より低いため、申告するだけで還付が発生することがあります。

  • 課税所得が695万円未満の給与所得者
  • 共働き世帯で扶養控除などがある人
  • 年の途中で退職して所得が少なかった人

義務ではなく「任意の申告」ですが、還付目的で申告する価値は十分あります。

確定申告が必要かどうかは、投資家の働き方と収入構成で大きく変わります。雑所得の合計や申告義務の有無をしっかり確認して、申告漏れや損を防いでくださいね

確定申告で還付を受けられる人の条件

不動産クラウドファンディングの分配金は受け取り時に20.42%の所得税が源泉徴収されています。この源泉徴収は一律で課されるため、実際の所得税率が20.42%より低い人は「払いすぎた税金」が発生し、確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。どのような人が還付を受けられるのか、条件を整理します。

課税所得が695万円未満の人は税率が源泉徴収率より低くなる

日本の所得税は超過累進課税で、所得が少ないほど税率が低くなります。課税所得が695万円未満であれば、適用される所得税率(5〜20%)は源泉徴収されている20.42%よりも低い範囲におさまるため、確定申告で差額が戻る可能性が高まります。

課税所得とは、給与収入や事業収入などから必要経費や各種控除を差し引いたあとの金額のことです。控除の種類や金額によって実質的な税率が下がる場合もあるため、所得が多く見えても還付の対象になるケースがあります。

扶養控除や社会保険料控除などで実質的な税率が低くなるケース

控除の内容によっては課税所得が大きく下がり、実際の適用税率が源泉徴収額より低くなるケースが多くあります。特に給与所得者の場合は「給与所得控除」「社会保険料控除」「生命保険料控除」「扶養控除」など、控除の種類が多いことが特徴です。

支払われる分配金にはこうした控除が反映されていないため、控除後の税率の方が低くなり、多くの給与所得者が還付を受けやすい理由になっています。

給与所得者は還付が発生しやすい

給与所得者は、一定の控除枠が自動的に用意されているため、実効税率(最終的に支払う税率)が20.42%に達しないケースが非常に多くあります。そのため、分配金に対して一律20.42%が控除されてしまう不動産クラウドファンディングでは「実際の税率との差分」が発生しやすく、確定申告で還付が受けられやすい傾向があります。

とくに下記の条件に当てはまると還付が出る可能性が高まります。

  • 課税所得が695万円未満
  • 扶養控除や生命保険料控除などの各種控除が多い
  • 不動産クラウドファンディングによる雑所得が少額
  • サラリーマン(給与所得者)で実効税率が低い

配当控除とは違う仕組みで還付される点に注意

株式の配当金などで適用される「配当控除」は、総合課税を選択することで税額が軽減される制度ですが、不動産クラウドファンディングの分配金は雑所得扱いのため配当控除は適用されません。

還付が発生するのはあくまで「源泉徴収された20.42%が、あなたの実際の所得税率より高かったから」という理由です。仕組みが異なるため、株式配当のような控除を期待して確定申告を行う必要はなく、所得税率の差を確認することが重要になります。

還付を受けられる可能性が高い人の具体像

  • 年収300〜600万円台の給与所得者
  • 扶養家族がいる人
  • 社会保険料控除や医療費控除が多い人
  • 不動産クラウドファンディングの投資額が少額で、雑所得が大きくない人

これらに当てはまる場合、確定申告によって源泉徴収された税金の一部が戻る可能性が高いといえます。

還付が発生する仕組みって難しく見えますが、要は「最初に引かれた20.42%があなたの本来の税率より高かったかどうか」だけを確認すれば大丈夫です。控除が多い人や給与所得者は特に還付が起こりやすいので、毎年の収入と控除内容を踏まえて一度チェックしてみてくださいね

還付が発生しやすい具体例と計算イメージ

不動産クラウドファンディングの還付は、「源泉徴収20.42%」と「本来の所得税率」の差によって生まれます。どのようなケースで戻りやすいのか、数字を使いながら具体的にイメージできる形で整理します。

給与所得者で利益が10万円の場合の還付イメージ

給与所得者は、給与と雑所得を合算して税額を計算します。特に課税所得が中間層の税率帯(5%・10%・20%)にある人は、源泉徴収率20.42%との差が大きく、還付が起こりやすくなります。

ケース1:課税所得が300万円台の給与所得者

給与所得の課税所得が310万円、クラウドファンディング利益が10万円のケースを例にすると、計算イメージは次のとおりです。

給与所得だけの場合の所得税
310万円 × 10% − 9万7,500円 = 21万2,500円

受取時に差し引かれる源泉徴収
10万円 × 20.42% = 2万420円

合計の負担
23万2,920円

確定申告で給与+雑所得を合算した場合
課税所得 320万円に対して
320万円 × 10% − 9万7,500円 = 22万2,500円

差額
23万2,920円 − 22万2,500円 = 1万420円の還付

源泉徴収が高めに設定されているため、総合課税で計算し直すと税率差による戻りが生まれます。

税率区分ごとに還付が起きやすい理由

不動産クラウドファンディングの分配金は総合課税の対象です。つまり、給与や副業収入と合算されて課税所得に対して税率が決まります。

税率が20%以下の人ほど源泉徴収(20.42%)との差が出ます。

還付が期待できる税率帯

  • 5%(課税所得195万円以下)
  • 10%(課税所得330万円以下)
  • 20%(課税所得695万円以下)

特に10%以下の税率帯では戻り幅が大きくなりやすい傾向があります。

複数ファンドを利用している場合の計算イメージ

複数ファンドから分配金を受け取る場合、以下の2点を合算する必要があります。

  • 年間の分配金総額(=雑所得の総額)
  • 各ファンドで源泉徴収された税額の合計

例として、3つのファンドで合計15万円の利益があり、源泉徴収額が合計3万630円(15万円 × 20.42%)だった場合、給与と合算して税率10%帯に収まるなら以下の流れになります。

  1. 雑所得15万円を給与と合算
  2. 合算後の課税所得に10%の所得税率
  3. 本来払うべき税額 < 源泉徴収総額となり、差額が還付される

複数の小さな利益でも合計すれば税額差が大きくなり、還付額も増える傾向があります。

払いすぎた税金が戻るしくみの要点

源泉徴収はあくまで「仮払い」で固定税率が20.42%のため、本来の税率より高めに設定されています。確定申告で給与と雑所得を合算して税額を再計算すると、納め過ぎていた分が戻りやすくなります。

  • 本来の税率が低い
  • 源泉徴収額の合計が大きい
  • 複数のファンドを利用している

このような条件がそろうほど、還付の可能性が高まります。

不動産クラファンの還付は“税率差”がポイントなんです。給与と雑所得を合算して計算し直すだけで戻りが出るケースは少なくありません。ファンド数が増えるほど源泉徴収額が積み上がるので、年間の利益と源泉徴収額を必ずまとめて確認しておくと安心ですよ

確定申告の準備に必要な書類一覧

不動産クラウドファンディングの分配金は雑所得として扱われ、還付や適切な申告のためには正確な書類準備が欠かせません。必要な書類は「クラウドファンディング事業者から提供される書類」「あなたの所得を証明する書類」「控除を反映させる書類」「本人確認書類」の4つに整理しておくとスムーズです。

クラウドファンディング会社が発行する書類

不動産クラウドファンディングで最も重要なのが、分配金や源泉徴収額がまとめられている公式の年間報告書です。税務署への提出は不要ですが、確定申告書へ金額を正確に転記する際の基礎資料になります。

  • 年間取引報告書(分配金額・源泉徴収税額・ファンド名が記載)
  • 支払調書(サービスによって名称が異なる場合あり)

複数のファンドを利用している場合、それぞれの書類を揃えて合計額を把握することが正確な申告に直結します。

所得や控除を証明するための書類

不動産クラウドファンディングの所得だけでなく、給与や各種控除の情報もまとめて申告する必要があります。還付を受けられる人ほど、この部分の記載漏れが大きな損につながるため注意が必要です。

  • 源泉徴収票(会社員・公務員の場合)
  • 事業所得がある場合は損益計算書や帳簿など
  • 他の雑所得がある場合の年間報告書(FX・副業など)

特に雑所得は複数のサービスを利用していると書類が分散しやすいため、早めに整理しておくとミスを防げます。

各種控除に必要な証明書類

医療費控除や寄附金控除などを併用することで、還付額が大きくなるケースがあります。控除の対象になる支出がある場合は、その証明書を必ず準備しておきましょう。

  • ふるさと納税の寄附金受領証明書
  • 医療費の領収書(または医療費通知)
  • 生命保険料控除証明書
  • 地震保険料控除証明書
  • 社会保険料の支払証明書(必要に応じて)

還付を最大化するためには、控除に関する資料の整理も重要です。

本人確認書類と提出に必要なもの

e-Tax利用の有無によって必要な書類が少し異なりますが、本人確認書類はすべての申告方法で必要です。

  • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
  • 運転免許証などの身元確認書類
  • e-Tax用の利用者識別番号(オンライン申告の場合)

マイナンバーカードは提出時の必須書類であり、e-Taxで申告する場合は事前準備が必要なため、早めの確認が大切です。

必要な書類はいろいろありますが、早めに並べておけば申告作業は驚くほどスムーズになりますよ。特に年間取引報告書と控除証明書は還付額に直結しやすいので、忘れずに集めておきましょう

不動産クラウドファンディングの申告書作成ステップ

不動産クラウドファンディングの分配金は「雑所得」に区分され、確定申告の際には正しく入力・添付することが求められます。ここでは、申告初心者でも迷わないように、実際の作成フローに沿ってポイントを整理します。必要な書類の準備が済んでいる前提で、申告書作成の段階に絞って理解しやすくまとめています。

所得区分を「雑所得」に設定する

分配金は給与所得や配当所得とは異なり、総合課税の「雑所得」に入力します。国税庁の作成画面では、雑所得の欄が複数ありますが、不動産クラウドファンディングは「業務に該当しない雑所得」に該当します。

入力欄を間違えると計算結果が変わるため、最初の段階で区分を正しく選ぶことが重要です。

年間取引報告書の数値を正確に転記する

クラウドファンディング事業者が発行する「年間取引報告書」には、次の数値が記載されています。

  • 受取分配金(総額)
  • 支払金額(源泉徴収前)
  • 源泉徴収税額(20.42%)
  • 年間の取引明細

入力が必要なのは、分配金額と源泉徴収額の2つです。複数ファンドを利用している場合は、合算した数字を入力します。

特に源泉徴収額は還付額に直結するため、報告書の値をそのまま転記することが求められます。

国税庁「確定申告書作成コーナー」で入力項目を反映する

確定申告書作成コーナーでは、画面に従って金額を入力するだけで税額が自動計算されます。迷いやすいポイントをまとめると次のとおりです。

  • 雑所得の欄に「クラウドファンディングの分配金」と記載する
  • 税金計算に反映される「源泉徴収税額」の欄を必ず入力する
  • 他の雑所得がある場合は、まとめて入力したうえで合計値を反映する

控除を利用する人は、医療費や寄附金などの項目も同時に入力することで、正しい税額が計算されます。

提出方法を選ぶ(e-Tax/郵送/持参)

作成した申告書は、次の3つの方法で提出できます。

  • e-Tax
    マイナンバーカードがあれば最も速く提出でき、還付も早く処理されます。
  • 郵送
    自宅で印刷して送付できるため、税務署へ行けない人に便利です。
  • 税務署へ持参
    職員と直接確認しながら提出でき、初めての人でも安心して提出できます。

還付申告は1月から受付可能なため、混雑する2月後半〜3月を避けて提出するのが賢い方法です。

提出後の控えと還付状況の管理

提出後は、控えを必ず保管し、e-Taxなら「申告データ送信履歴」、郵送なら控えの写しを確認します。還付は通常1〜2か月で振り込まれますが、申告内容に不備があると遅れることもあるため、入力値を再確認しておきましょう。

申告の作業は細かいところでつまずきやすいですが、流れさえ分かれば難しくありません。雑所得の区分と源泉徴収額の入力を正確に行うことが還付の第一歩になりますよ

損益通算や控除で負担を減らすための注意点

不動産クラウドファンディングの利益は「雑所得」として総合課税の対象になるため、他の所得との組み合わせによって税負担が変わります。特に損益通算や各種控除の活用が税額に大きく影響するため、正しいルールを理解しておくことが重要です。

以下では、投資家が損しないために押さえておくべき実務上の注意点を整理します。

不動産クラファンの損失は“総合課税の雑所得”とのみ通算できる

不動産クラウドファンディングで損失が出た場合、通算できるのは総合課税扱いの雑所得だけです。

通算対象の典型例は次のとおりです。

  • 副業(業務委託・スキルシェアなど)の雑所得
  • 公的年金の雑所得部分
  • 暗号資産の雑所得(※総合課税扱いの場合)

一方で、以下とは通算できません。

  • 給与所得(会社員の本業収入)
  • 株式・投資信託の売却益(申告分離課税)
  • FX/先物取引(申告分離課税)
  • 不動産所得(家賃収入)

総合課税か分離課税かを必ず確認し、誤った通算を前提に税額を計算しないよう注意が必要です。

株式・NISA・FXの損失は不動産クラファンとは一切通算できない

競合サイトでも誤解されやすいポイントですが、不動産クラウドファンディングは「総合課税の雑所得」、株式・投信・FXは「申告分離課税」で計算方式が異なります。

そのため、以下の損失は不動産クラファンの利益と相殺できません。

  • 株式・投資信託の売却損
  • FX・CFD・先物取引の損失
  • 暗号資産の先物損失(金融商品扱い)

特にNISA口座の損失は税務上“損失として存在しない”扱いになるため、通算の対象外になります。

投資家が複数資産に投資している場合、このルールを理解していないと「思ったより税金が減らなかった」という状況になりやすいため要注意です。

医療費控除・寄附金控除などを併用すると還付が増えるケースがある

不動産クラウドファンディングの利益は総合課税の所得に合算されるため、控除との組み合わせ次第で課税所得が大きく下がり、結果として還付額が増える場合があります。

特に効果が高い控除は次のとおりです。

  • 医療費控除
  • ふるさと納税の寄附金控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除

不動産クラファン単体では還付が少額でも、控除と合わせることで結果的に「源泉徴収20.42%との差額」が大きくなり、想定以上の還付になることもあります。

控除は「所得全体に対して作用する」点を理解することが重要です。

損失の繰越控除は総合課税の雑所得では使えない

株式・投資信託・FXでは3年間の繰越控除が認められていますが、不動産クラウドファンディングの雑所得には繰越控除がありません。

つまり、損失が出た年しか損益通算の効果を使えない仕組みです。

  • 今年の損失 → 同年の総合課税雑所得でのみ相殺可能
  • 翌年以降 → 利用不可

年をまたいだ節税効果は限定的なため、複数の雑所得がある人は「同じ年での調整が必須」です。

副業所得がある人は計算ミスに注意

副業収入を雑所得として扱っている人は、不動産クラファンの利益を加えることで税率帯が上がりやすくなります。

具体的な注意点は次のとおりです。

  • 副業+クラファンの合算で課税所得の税率帯が変わる
  • 住民税側の申告漏れが起こりやすい
  • 副業の経費計上が認められないケースでは想定以上の税負担になる

雑所得の増加は税率を押し上げるため、還付が出ると思って申告したら逆に追加納税になったケースもあります。事前に「課税所得の帯」を確認しておくと安全です。

控除証明書や取引報告書の不足で還付が減ることがある

節税を狙っても、次の書類が不足していると控除が適用されず、損をするケースがあります。

  • 医療費の領収書
  • 寄附金受領証明書(ふるさと納税)
  • 社会保険料の支払証明
  • 年間取引報告書(クラファン事業者発行)

控除不足はそのまま課税所得が増えるため、還付額にも直結します。特にふるさと納税の証明書の提出漏れはよく起こるため、申告前の整理が必須です。

税負担を抑えるためには、損益通算できる所得の範囲・控除の種類・書類管理の3つを正確に理解しておく必要があります。判断に迷うときは、ムリをせず税務署に相談するのがいちばん確実ですよ

還付金を最大化するために知っておきたい実務ポイント

還付金を最大化するためには、単に「確定申告をする」だけでは十分ではありません。投資家が実務で押さえるべきポイントを理解しておくことで、最終的に戻ってくる金額が変わるケースがあります。特に不動産クラウドファンディングは複数ファンド・複数サービスを併用しやすいため、情報管理と記載方法の精度が重要です。

複数ファンドの収入・源泉徴収額を一元管理する

不動産クラウドファンディングは複数プロジェクトに分散投資するケースが多く、サービスごとに発行される年間取引報告書の形式も微妙に異なります。還付金の計算は「総額ベース」で行われるため、個別の金額だけを見ていると記載漏れが起きやすくなります。

管理の精度を高めるために有効なのが次のポイントです。

  • 年間取引報告書の内容(分配金、源泉徴収額)を一覧表にまとめる
  • 受け取り月ごとの金額を整理し、重複や欠損がないか確認する
  • 雑所得の合算額と源泉徴収総額を「一つの数字」にまとめたうえで申告する

特に源泉徴収額の記入ミスは還付金の差額に直結します。報告書の書式に依存せず、自分の管理表で総額を把握しておくことが重要です。

効果の大きい控除を確実に適用する

不動産クラウドファンディングの雑所得は総合課税となり、医療費控除や寄附金控除などの一般的な控除と合算されます。控除額が増えると課税所得が減り、源泉徴収額との差が広がるため還付額が大きくなる可能性があります。

特に影響の大きい控除は次のとおりです。

  • 医療費控除(年間10万円付近のケースは還付額に差が出やすい)
  • 寄附金控除(ふるさと納税)
  • 社会保険料控除・生命保険料控除

年末調整で適用しきれなかった控除を確定申告で追加すると、総合課税の所得が下がり、そのぶん還付につながるケースが多くあります。

申告書作成時の入力ミスを防ぐ

還付金を最大化するためには、申告書の入力精度が極めて重要です。特にe-Taxや作成コーナーでは、項目の選択によって計算ロジックが変わるため注意が必要です。

入力時に特に間違えやすいポイントは次のとおりです。

  • 所得区分を「雑所得(総合)」に設定しているか
  • 年間取引報告書の金額を「支払金額」「源泉徴収税額」に正しく転記できているか
  • 他の雑所得(副業・ポイント収入など)と合算漏れがないか

どれか1つでも誤ると課税所得が正しく算出されず、還付額が減少したり、申告内容の差異が生まれます。

住民税の申告漏れを防ぐ

所得税の還付は正しく申告すれば問題ありませんが、住民税には別途手続きが必要なケースがあります。不動産クラウドファンディングの利益は少額でも住民税の申告が必要となるため、住民税だけが未申告になると後日修正が求められ、余計な手間が発生します。

住民税の申告漏れがあると、所得税の還付があっても翌年度に不整合が発生し、問い合わせ対応が必要になる可能性があります。それを防ぐためにも、所得税と住民税の申告内容を同一にそろえる意識が大切です。

提出期限ギリギリを避けるスケジュール管理

還付金を最大化するためには、期限内に正確に提出することが大前提です。提出時期が遅くなるほど、各種書類の再確認や提出方法の変更などでミスが起こりやすくなります。

特に注意したいポイントは次のとおりです。

  • 書類の準備は1月中に開始する
  • 作成コーナーで試算を複数回行い、金額一致を確認する
  • e-Taxの事前準備(マイナンバーカード・暗証番号)を確認しておく

早めの準備によって、金額の見直しや還付額の確認がしやすくなります。

誤申告・無申告によるリスク回避も「還付最大化」に直結する

誤った申告や無申告は追加の手続きが必要となり、その間、還付処理が遅れる可能性があります。さらに、修正申告が発生すれば、提出の手間や計算をやり直す必要があり、最終的に投資効率を下げる要因にもなります。

正確な金額管理・控除の適用・期限内提出が、最短で最大の還付につながる実務上の基本となります。

税金や還付は複雑に見えますが、ポイントを押さえて準備すればしっかり取り戻せます。焦らず順番に確認して、毎年の申告を“資産防衛のルーティン”にしていきましょうね

順位商品名会社名特徴案件数直近10件平均利回り直近10件直近最低利回り直近10件直近最高利回り直近10件募集割合平均優先劣後方式最低投資金額募集方法組合契約物件の種類優遇サービスあり物件の開示情報出金手数料運用レポートの共有あり運営会社設立年月運営会社資本金上場公式サイト
1位COZUCHI(コズチ)LAETOLI株式会社投資募集のチャンスは業界上位。投資デビューに適した候補85件6.00%4.50%10.00%242.91%10,000円先着、抽選匿名組合型、任意組合型アパート・マンション、商業施設、オフィス×住所、運営会社、収支シミュレーション、面積、容積率、用途地域、事業内容月1回まで無料(それ以降は330円)1999年100,000,000円×公式サイト
2位CREAL(クリアル)クリアル株式会社募集口数が多く、新規案件の供給量も豊富137件5.43%0.00%10.00%-10,000円先着匿名組合型アパート・マンション、商業施設、オフィス、保育所、学校、宿泊施設築年数、住所、運営会社、面積、容積率、用途地域、接道状況、事業内容105円(楽天銀行の場合)、150円(楽天銀行以外で3万円未満の場合)、229円(楽天銀行以外で3万円以上の場合)2011年1,273,520,500円公式サイト
3位利回りくん株式会社シーラ年間新規案件数が安定。募集口数も一定水準140件4.25%3.00%5.50%100.11%10,000円先着、抽選匿名組合型、任意組合型戸建、アパート・マンション×築年数、住所、財務情報、収支シミュレーション、面積、容積率、用途地域、事業内容無料2010年446,522,660円公式サイト
4位Rimple(リンプル)プロパティエージェント株式会社新規案件が充実。劣後出資割合の高い案件が多い106件2.93%2.70%5.00%662.00%10,000円抽選匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、事業内容無料2004年100,000,000円公式サイト
5位TECROWD(テクラウド)TECRA株式会社新興国不動産への投資が可能。高利回り案件が多い85件9.65%8.50%11.50%100.00%100,000円先着、抽選匿名組合型戸建、アパート・マンション、オフィス住所、運営会社、財務情報、面積、事業内容無料(楽天銀行)、振込手数料(楽天銀行以外)2001年156,600,000円×公式サイト
6位TSON FUNDING(ティーソン)株式会社TSON年間案件数が最多クラス。リスク軽減案件も豊富210件5.39%3.50%5.80%121.60%100,000円先着、抽選匿名組合型、任意組合型戸建、アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、面積、事業内容無料(匿名組合ファンド)、振込手数料(任意組合ファンド)2008年100,000,000円×公式サイト
7位大家どっとこむ株式会社グローベルス運営会社の信頼性が高く、新規案件も安定供給107件5.50%3.50%12.00%711.61%10,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション×住所、運営会社、財務情報、収支シミュレーション、事業内容無料(GMOあおぞらネット銀行)、145円(他行宛)1996年100,000,000円公式サイト
8位FUNDROP(ファンドロップ)ONE DROP INVESTMENT 株式会社劣後出資割合の高い案件が多いが、投資機会は少なめ34件5.39%3.50%5.80%126.41%10,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、収支シミュレーション、面積、容積率、用途地域、事業内容52円(楽天銀行)、150円(他の金融機関で3万円未満)、229円(他の金融機関で3万円以上)2013年100,000,000円×公式サイト
9位Jointoα(ジョイントアルファ)穴吹興産株式会社低リスク案件が多いが、投資の機会は限定的42件3.30%3.00%5.00%99.92%100,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション、商業施設×築年数、住所、運営会社、財務情報、面積、容積率、用途地域、事業内容無料1964年755,790,000円公式サイト
10位ちょこっと不動産株式会社良栄劣後出資割合の高い案件が多く、運営も安定傾向10件4.00%3.90%4.30%100.00%10,000円先着匿名組合型戸建、アパート・マンション、商業施設、オフィス×築年数、住所、運営会社、財務情報、収支シミュレーション、面積、事業内容、建築確認番号無料(GMOあおぞらネット銀行)、145円(その他の金融機関)1991年389,820,000円×公式サイト
11位property+(プロパティプラス)株式会社リビングコーポレーション募集口数は平均的だが、新規案件がなかった点が課題33件3.90%3.00%10.00%100.00%10,000円先着匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、財務情報、面積、容積率、用途地域、事業内容無料2015年100,000,000円公式サイト
12位ASSECLI(アセクリ)株式会社エボルゾーン高利回り案件が多いが、新規提供数は限られる44件6.56%6.00%8.00%105.85%10,000円先着匿名組合型アパート・マンション×事業内容無料×2011年100,000,000円×公式サイト
13位LIFULL(ライフル)株式会社LIFULL大手不動産会社のクラウドファンディング。厳選された物件3件5.83%5.50%6.00%105.67%10,000円抽選匿名組合型アパート・マンション・グループホーム×築年数、住所、運営会社、面積、容積率、用途地域、事業内容無料×1997年9,723,000,000円公式サイト
14位みんなの年金株式会社ネクサスエージェント」「公的年金に合わせた2ヵ月ごとの分配金」が特徴の、不動産クラウドファンディング139件8.00%8.00%8.00%100.00%10,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション×住所、物件種別、アクセス、構造、総戸数、家賃保証有無無料×2016年100,000,000円公式サイト
15位利回り不動産株式会社ワイズホールディングス高水準の利回り案件が豊富で、投資のチャンスも平均以上-----10,000円先着、抽選匿名組合型戸建、アパート・マンション×築年数、住所、収支シミュレーション、面積、容積率、用途地域、事業内容無料(GMOあおぞらネット銀行)、145円(他行あて)2023年100,000,000円×公式サイト
16位らくたま株式会社日本保証リスクを抑えつつ高いリターンを狙える案件が多く、供給数も充実-----10000円先着、抽選匿名組合型戸建、商業施設、オフィス築年数、住所、面積無料(GMOあおぞらネット銀行)×2008年100,000,000円公式サイト
17位GALA FUNDING(ガーラ ファンディング)株式会社FJネクストホールディングス運営基盤が堅実で、劣後出資割合が高めの安心感ある案件が中心-----10,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、財務情報、収支シミュレーション、面積、容積率、事業内容、建築確認番号無料(GMOあおぞらネット銀行)、145円(他行宛て)1980年2,774,400,000円公式サイト
18位トモタク株式会社イーダブルジー新規募集数は業界トップクラスで、高利回り案件が目立つ-----100,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション、オフィス×築年数、住所、収支シミュレーション、面積、容積率、用途地域、事業内容1回のみ無料(125円(GMOあおぞらネット銀行)、250円(GMOあおぞらネット銀行以外))2009年100,000,000円×公式サイト
19位LSEED(エルシード)株式会社LSEEDリスクとリターンのバランスは良好だが、案件数はやや少なめ-----10,000円先着匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、面積、事業内容不明×1999年706,139,500円公式サイト
20位トーセイ不動産クラウドトーセイ株式会社1万口超の大型案件が主体で、年間の提供数は限定的-----10,000円先着匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、面積、容積率、用途地域、接道状況、事業内容無料(GMOあおぞらネット銀行)、129円(その他金融機関)1950年6,624,890,000円公式サイト
21位KORYO Funding(コウリョウ ファンディング)株式会社興陵安定したバランス型案件が揃う一方で、全体の件数は少ない-----100,000円先着、抽選匿名組合型アパート・マンション×築年数、住所、運営会社、財務情報、収支シミュレーション、面積、容積率、事業内容無料×1981年371,980,200円公式サイト