不動産担保ローンとは。仕組み・審査・金利・必要書類まで初心者にもわかる完全ガイド



目次

不動産担保ローンとは何かを一言で理解するポイント

不動産担保ローンは、所有する土地や建物を「担保」として差し出すことで、まとまった資金を低い金利で借りられるローンです。金融機関は不動産の価値を基準に貸付額を判断するため、無担保ローンよりも借入上限が高くなりやすく、大口の資金が必要な場面で選ばれています。

担保にした不動産には抵当権が設定され、返済が滞った際には売却によって返済が行われる仕組みが採用されています。このため、利用する際は「大きな金額を比較的低金利で借りられる一方、不動産を失う可能性もある」という特徴を理解することが欠かせません。

事業資金、借換え、相続対策など、用途の柔軟性が高い点も特徴です。資金の使いみちは幅広く、目的ごとに異なるローンを選ぶ必要がないため、複数の資金需要をまとめてカバーできる場合もあります。

要点を整理すると以下のとおりです。

  • 不動産を担保にすることで高額の資金調達が可能
  • 金利は無担保より抑えられやすい
  • 資金使途が幅広く、個人も法人も使いやすい
  • 返済不能時は担保不動産が売却される可能性がある

不動産担保ローンは「リスクとメリットのバランス型」の資金調達手段といえるため、自分の不動産の評価や返済計画を踏まえた上で選ぶことが重要です。

不動産を担保にするローンは、一言でいえば“まとまった資金を低めの金利で借りたい人向けの手段ですが、担保を失う可能性もあるため返済計画を丁寧に立てて使うのがポイントですよ

不動産担保ローンが選ばれる主な理由

不動産担保ローンが多くの利用者に選ばれている背景には、「高額を、低金利で、長期間にわたって安全に借りられる」という3つの軸が存在します。特に動産を保有していて資金調達を検討している方にとっては、事業効率の改善や運転資金の安定化に直結するメリットが明確です。競合サイトで語られる一般論にとどまらず、利用者が実際に判断するときに重視すべき理由をわかりやすく整理します。

高額の資金調達に対応しやすい

不動産担保ローンは、担保評価を基準に数千万円〜1億円規模の融資を受けられる点が最大の特徴です。動産(在庫・機械・設備など)だけでは大口資金を確保しにくいケースでも、不動産を組み合わせることで調達可能額が大幅に増えます。事業拡大、仕入先への一括支払い、借入整理など、まとまったキャッシュを必要とする場面で実用性が高い手段です。

低金利で総支払額を抑えやすい

一般的な無担保ローンでは10〜18%台の金利が適用されるのに対し、不動産担保ローンは3〜8%台に収まることが多く、支払総額を抑えられるのが大きな強みです。借換え目的で利用する場合、金利負担が大幅に軽減され、毎月の返済額を圧縮できるケースも多くあります。特に事業者にとっては、資金繰り安定の観点から金利差のインパクトが非常に大きくなります。

長期返済によりキャッシュフローが安定しやすい

返済期間が最長30〜35年まで設定できるため、月々の返済負担を抑えやすく、手元資金を確保しながら計画的に事業を進められます。無担保ローンのように短期返済で月々の負担が重くなるケースを避けられる点が、資金繰り改善の観点で選ばれる理由です。長期計画で設備投資を回収したい事業者にとって、返済期間の柔軟性は大きなメリットになります。

資金使途が幅広く、事業運営の自由度が高い

不動産担保ローンは、事業資金・設備投資・運転資金・借換え・教育費・医療費など、幅広い使い途に対応できます。動産担保融資(ABL)では対象資産や用途が限定されることがありますが、不動産担保ローンは用途の自由度が高く、資金を戦略的に使える点が評価されています。

信用力に不安があっても選択肢になりやすい

赤字決算や創業直後で無担保ローンの審査が通りにくい場合でも、「担保不動産の価値」が審査に反映されるため、融資の可能性が残されます。動産だけでは価値評価が不安定な場合でも、不動産を組み合わせれば審査通過率が大きく改善されるケースもあり、中小企業や個人事業主が選びやすい理由につながっています。

家族名義・法人名義の不動産も活用できる

金融機関によっては契約者本人以外の不動産も担保にできるため、自社の資産だけでは担保価値が不足するケースでも、家族や法人の不動産を組み合わせて調達規模を広げることが可能です。複数資産を組み合わせて効率的に借入余力を確保できる点も、不動産担保ローンならではの特徴です。

不動産担保ローンは「大口・低金利・長期返済」がそろう珍しいタイプのローンです。返済負担を抑えながら資金計画を立てたい方には、かなり合理的な選択肢になりますよ

利用前に知るべきデメリットとリスク

不動産担保ローンには大口・低金利という大きなメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットやリスクも存在します。特に、動産を保有しながら資金調達を検討している方にとっては、手続き負荷や資金繰りへの影響が無視できません。事前にリスクを把握しておくことで、想定外の損失を回避しやすくなります。

融資までに一定の時間がかかる

不動産担保ローンは担保評価・現地調査・登記の確認など、多段階の審査が必要です。

無担保型のビジネスローンやABL(動産担保融資)に比べると、融資実行までの期間が長く、即資金化には向きません。

動産を活用したい事業者で、短期の資金調達ニーズが強い場合には、次のような問題が生じる可能性があります。

  • 売掛金や在庫の変動に対応するまでに資金が届かない
  • 他社との仕入れ条件の変更に対応できない
  • 機会損失が発生する恐れがある

スケジュールがタイトな資金ニーズの場合は、併用可能な短期調達手段を検討する必要があります。

初期費用・諸経費が想定より高くなるケースがある

不動産担保ローンの大きな落とし穴が、初期費用の多さです。

特に登記費用や司法書士報酬、事務手数料などは、借入金額に比例して増加します。

代表的な費用としては次の通りです。

  • 抵当権設定登記費用
  • 登記変更が伴う場合の追加費用
  • 司法書士報酬
  • 融資事務手数料
  • 不動産調査費用

借入額が多いほど初期費用も高額になり、実際の資金手取り額が想定より減少することがあります。動産を保有しつつ複数の資金調達手段を使う方は、総コストを必ず事前試算しておくことが重要です。

返済不能時に不動産を失うリスクがある

返済が滞った場合、金融機関は担保不動産を競売にかけて回収する権利を持っています。

動産をビジネスに活用している方でも、不動産を喪失すると経営への影響が大きく、次のような問題につながる恐れがあります。

  • 所在地や拠点を失うことで事業継続が難しくなる
  • 資産価値が低い競売価格で処分され、債務が残る可能性
  • 家族・共同名義人への影響が大きい

返済が遅延し続けると、信用情報にもマイナス評価が残り、将来の借入が難しくなります。

事業計画とキャッシュフローの見通しを立てたうえで、返済余力を慎重に判断する必要があります。

名義や権利関係の調整が複雑になる場合がある

不動産担保ローンは、所有権や抵当権の状態を厳密に確認しなければなりません。

動産を保有している事業者で、複数拠点や資産管理会社を構えている場合、さらに複雑化しやすい特徴があります。

次のようなケースでは調整が必要となり、融資が遅れたり追加書類が必要になることがあります。

  • 共有名義の不動産で所有者全員の同意が必要
  • 住宅ローン等の既存抵当権が設定されている
  • 法人名義の場合は代表者保証や追加資料が求められる
  • 相続登記が未完了で名義が一致していない

調整に時間を要するほど、資金調達のスピードに影響します。

不動産価格の変動リスクが融資条件に影響する

不動産担保ローンでは、不動産の評価額が融資上限の大きな基準になります。

地価下落や建物劣化が進むと、次のような影響が出る可能性があります。

  • 借入可能額が想定より低くなる
  • 追加融資が難しくなる
  • 担保余力が不足し、借り換えに制限がかかる

特に動産を活用した事業はキャッシュフローが変動しやすいため、不動産価格の下落が資金計画全体に影響する可能性があります。

返済不能のリスクは、しっかり理解しておくと安心ですよ。特に不動産を担保にする以上、「返せなくなったときに何が起こるか」を冷静に把握しておくことが大切です。無理のない返済計画と、資金調達の優先順位を整理して判断してくださいね

審査で見られる項目と通過のポイント

不動産担保ローンの審査は、一般的な無担保ローンとは異なり「信用情報」「返済能力」「担保評価」の三つを総合して判断されます。特に、動産を保有し事業運営や多用途の資金調達を考える方にとっては、担保不動産の評価に加えて、事業の安定性や資金使途の妥当性がより重視されます。ここでは、競合サイトの要素を押さえつつ、より実務的で深い視点から審査の通過ポイントを整理します。

信用情報の確認と評価のポイント

審査では、信用情報機関に登録されているクレジット・ローン履歴が参照され、過去の延滞や債務整理の有無が重点的に確認されます。直近の支払い遅延があると、担保価値が高くても評価が下がる場合があります。

良好な信用状態を維持するためのポイントは次のとおりです。

  • 支払い遅延を避けるために固定費を自動引き落としにする
  • クレジット枠を使いすぎないように管理する
  • 小額でも延滞を発生させない
  • 過去の金融事故がある場合は、原因を説明できる資料を準備しておく

信用情報は、申込者が「金融トラブルを起こさない人物か」を判断する基礎データとなるため、改善できる部分は事前に整えておくことが重要です。

返済能力の判断基準と改善策

返済能力は「安定収入」「他社借入の状況」「年齢」「勤務・事業の継続性」などから判断されます。

個人の場合

給与所得者であれば、勤続年数2年以上が目安とされることが多く、収入のぶれが少ない人ほど評価が上がります。

個人事業主・法人の場合

売上・利益の推移、資金繰り、納税状況、事業計画などが評価されます。赤字決算があっても、不動産担保ローンは「担保価値」が補完するため通過の可能性は残りますが、次の点が重要になります。

  • 直近の売上回復や改善計画を示せる資料を揃える
  • 納税証明書の滞納がないことを確認する
  • 複数の借入がある場合は返済計画を整理し、必要であれば一本化を検討する

返済能力の評価は、担保の評価と並んで融資額に最も影響する要素です。

担保不動産の評価ポイント

担保評価は「所在地」「市場価値」「地目」「接道状況」「築年数」「残債の有無」など多角的に評価されます。動産も保有しながら資金調達を検討している方は、不動産以外の資産構成を総合して評価されるケースもありますが、融資判断に直接影響するのは不動産の価値です。

評価額の6〜8割が借入の目安とされますが、以下に該当すると評価額が上がる傾向があります。

  • 駅からの距離が近い
  • 商業地・住宅地として需要が高い
  • 築年数が浅い、またはリフォーム履歴が明確
  • 道路付け(接道状況)が良い
  • 第一抵当権がすでに抹消済み

逆に、私道共有・接道義務を満たさない物件・築古すぎる建物は、評価が下がることがあります。

必要書類の整合性と事前準備の重要性

審査の現場では「書類の整合性」が重視されます。情報に矛盾がある場合、信用力が低く見られる可能性があります。

特に注意すべき書類は次のとおりです。

  • 登記簿と固定資産税評価証明の内容が一致しているか
  • 源泉徴収票・確定申告書と収入申告が一致しているか
  • 既存借入の残高証明に誤記がないか

書類不備は審査遅延の大きな原因となるため、事前チェックが必須です。

住宅ローン残債がある場合のポイント

住宅ローンが残っている物件を担保にする場合は、「担保余力」が審査の最大ポイントになります。

担保余力=担保評価額 − 住宅ローン残債

担保余力が少ないと融資可能額が小さくなり、借入自体が不可になることもあります。借換えや増額融資を考える場合は、評価シミュレーションを事前に依頼するとスムーズです。

動産を保有している人が押さえるべき追加ポイント

動産(機械・在庫・設備・車両など)を保有している方は、不動産担保ローン審査で次のように評価が上がるケースがあります。

  • 動産が事業に必要で、継続性の根拠となる
  • 動産評価(ABL的視点)を加味する金融機関を選ぶことで融資可能額が増える場合がある
  • 売掛金・在庫が安定しているとキャッシュフロー改善につながる

一方、動産の状態や価値が低い場合は、事業の収益性と返済能力でカバーする必要があります。

審査通過のために事前にできる対策

多くの金融機関が内部で重視している要素を踏まえ、以下を準備しておくと通過確率が上がります。

  • 収入・事業の状況を示す資料を最新化しておく
  • 納税証明をそろえ、滞納を解消しておく
  • 不動産の現状を把握し、境界・接道・用途地域などの不明点を解消
  • 既存の借入状況を整理し、返済比率を改善
  • 資金使途を具体化し、合理的な用途を説明できるようにする

審査で「説明力」が強いほど、同じ担保価値でも好条件になる場合があります。

審査は難しそうに感じますが、ポイントを押さえて準備すれば通過率は大きく上がります。特に、書類の整合性と返済計画の説得力を整えておくことが効果的ですよ

申し込みから融資までの流れ

不動産担保ローンは、担保評価・登記手続き・与信調査など複数の工程を経て融資が実行されるため、無担保ローンと比べて手続きが体系化されています。動産を保有しており、事業資金や設備投資などでまとまった資金調達を検討する方にとっては、全体の流れを事前に把握することが、融資までの時間短縮やトラブル防止につながります。

以下では、一般的な6ステップを、準備のポイントや注意点を交えて整理しています。

1. Webからの仮審査申し込み

ほとんどの金融機関がWeb仮審査に対応しており、基本情報・不動産の概要・資金使途などを入力すると、最短当日〜数日で概算の融資可否が判定されます。

仮審査では、簡易的な担保評価と信用情報の概要のみがチェックされるため、必要書類はほぼ不要です。

事業目的の場合は、動産や在庫の有無・事業の収益構造などがヒアリングされる場合がありますが、現段階では詳細資料の提出は求められません。

2. 面談と本申込手続き

仮審査通過後、担当者との面談が行われ、本申込へ進みます。

面談では以下の確認が行われます。

  • 資金使途の妥当性
  • 返済計画のイメージ
  • 担保不動産の権利関係
  • 動産や事業資産の状況(必要な場合)

本申込では本人確認書類や不動産書類の提出が必要になります。書類の不備があると審査が遅れるため、早めの準備が重要です。

3. 担保不動産の調査・現地訪問

金融機関は、担保に設定する不動産の価値・収益性・法的リスクを精査するため、現地調査や登記情報の確認を行います。

調査内容は、ローン実行可否に直接影響するため、以下の点が特に重視されます。

  • 不動産の市場価格と流動性
  • 境界・接道条件・建物の状態
  • 既存の抵当権の有無、順位、残債高
  • 共有名義や法人名義の調整状況

事業目的の場合、動産担保融資(ABL)の経験がある金融機関では、事業資産との併用評価ができる場合もあります。

4. 与信審査と融資条件の提示

担保評価と並行して、申込者の返済能力が審査されます。

主に確認されるのは次の項目です。

  • 年収・決算状況・キャッシュフロー
  • 納税状況や既存債務
  • 過去の支払い状況(信用情報)
  • 資金使途の合理性

審査通過後、金融機関から「融資金額」「金利」「返済期間」「毎月返済額」などの条件が正式に提示されます。

条件に納得できれば契約手続きに進みます。

5. 契約手続きと抵当権設定

融資条件に同意すると契約締結に進みます。

必要な主な手続きは以下のとおりです。

  • 金銭消費貸借契約の締結
  • 抵当権設定登記の実施
  • 印鑑証明の提出
  • 司法書士による最終確認

共有名義の場合や法人・家族名義の場合は、追加で物上保証人や連帯保証人の同意が必要になる場合があります。

この工程は不備があると最も時間が延びるため、書類の事前確認が非常に重要です。

6. 融資実行(振込)

登記が完了すると、金融機関から指定口座へ融資金が振り込まれます。

多くの金融機関では事務手数料・登記費用などが融資金から差し引かれるため、別途支払いが不要なケースが一般的です。

融資実行までの期間は次が目安です。

  • 最短:5日〜10日
  • 一般的:2週間〜3週間
  • 共有名義・調整が必要な場合:1カ月以上

資金の必要時期が明確な方は、逆算したスケジュール管理が欠かせません。

申込から融資までの動きを理解しておくと、無駄な待ち時間を減らせますよ。特に書類の不備や名義の問題は遅延の原因になりやすいので、早めの準備を意識してみてください

必要書類と準備の注意点

不動産担保ローンは、金利や借入可能額だけでなく「書類準備の正確さ」が審査スピードと結果に直結します。特に動産を保有し、資金調達の選択肢を広く検討している方にとっては、不動産関連書類と個人・法人の信用資料を同時にそろえる必要があるため、事前の段取りが重要です。ここでは、一般的に求められる書類と、準備で失敗しないための注意点を整理します。

必要書類の全体像

以下は多くの金融機関が共通して求める主要書類です。

  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
  • 実印および印鑑証明書(発行から3か月以内が一般的)
  • 所得関連書類(源泉徴収票・確定申告書・決算書など)
  • 納税証明書または固定資産税関連書類
  • 不動産登記簿謄本(最新のもの)
  • 不動産の権利証(登記識別情報通知)
  • 他社借入の残高証明書(借入がある場合)
  • 法人の場合:商業登記簿謄本、直近の決算書、事業計画書など

必要書類は銀行とノンバンクで共通する部分が多いものの、担保評価の基準や書類の指定範囲が異なることもあります。申込前に個別の条件を確認すると準備漏れが防げます。

書類準備で特に注意すべきポイント

1. 登記簿謄本は必ず「最新」を取得する

不動産担保ローンの審査では、不動産の権利関係・抵当権・所有者情報が正確であることが前提になります。法務局で取得する登記簿謄本は、取得から時間が経つと「最新ではない」と判断され、再提出を求められることがあります。

同居家族が所有者の場合や共有名義の場合は、複数の登記簿が必要になるため、早めに確認しておくとスムーズです。

2. 所得証明・納税証明は用途に応じて種類が変わる

個人の場合は源泉徴収票、法人の場合は決算書・法人税申告書一式を求められるのが一般的です。ただし、事業目的の融資の場合は「事業計画書」や「見積書」の提出も求められることがあります。

固定資産税納税通知書や納税証明書については、市区町村で取得するものと税務署で取得するものが分かれているため、準備期間に余裕を持つことが重要です。

3. 共有名義・法人名義の場合は追加書類が増える

共有名義の場合は以下の追加書類が必要になることがあります。

  • 共有者全員の本人確認書類
  • 共有者全員の同意書
  • 共有者の印鑑証明書(複数人)

法人名義の場合は以下も必須となるケースが多いです。

  • 代表者の個人の本人確認書類
  • 法人の商業登記簿謄本
  • 直近数期分の決算書(税務署の収受印付き)

いずれも事前調整に時間がかかるため、早期の情報共有が大切です。

4. 他社借入がある場合は「残高証明書」を早めに手配する

複数の借入があると、金融機関が返済計画を評価するうえで確認を要求するため、残高証明書の準備は必須です。ネット銀行や消費者金融はオンライン発行できますが、住宅ローンは郵送のみのケースも多いため、時間管理がポイントになります。

5. 実印・印鑑証明書は「本人だけではない」ことがある

担保提供者が本人以外(家族・法人など)の場合は、担保提供者の実印や印鑑証明書の提出も必要です。契約時に揃わないと日程が遅れるため、関係者全員の書類準備を同時に進めると確実です。

書類不備を防ぐための実務的なコツ

  • 必要書類一覧を印刷し、チェックリスト化して管理する
  • 書類の有効期限(3か月以内など)をカレンダーで管理する
  • 法務局・市区町村・税務署で取得する書類の順番を決めておく
  • 共有名義なら、関係者全員の予定や手続き負担を事前に調整しておく
  • 書類は原本提出が必要な場合もあるため、コピーを多く保管しておく

必要書類の準備スピードは、そのまま融資スピードに影響します。特に事業資金や借換えなど期限が決まっている場合は、準備の段階で遅れを作らないことが大切です。

書類は多くて大変に見えますが、一つずつ整理して揃えていけば問題なく進められますよ。特に登記簿や印鑑証明書のような期限がある書類は、早めに動くのがポイントです。焦らず、順番に準備していきましょう

不動産担保ローンが向いている人・向かない人

不動産担保ローンは、まとまった資金を低金利で調達できる一方、審査・手続き・リスク管理の負担も大きいため、向いている人と向かない人がはっきり分かれます。ここでは「動産を保有していて、資金調達を考えている方」が本当に適しているか判断できるよう、利用者別の特徴と注意点を整理します。

不動産担保ローンが向いている人

大口の資金調達を必要としている人

不動産担保ローンは担保評価に応じて数千万円〜1億円超の調達が可能なため、事業拡大や設備投資、借換えなど大きな資金が必要な人に適しています。動産資産だけでは調達額が不足するケースでも、所有不動産を活用することで資金繰りの幅が一気に広がります。

金利負担を抑えて長期で返済したい人

無担保ローンの高金利に悩んでいる方や、返済期間を長期化して月々のキャッシュアウトを抑えたい方には効果があります。返済負担を平準化したい経営者や、複数ローンをまとめたい個人にも向いています。

不動産を保有しており、担保化に抵抗がない人

担保に出す不動産の所有権や権利関係が整理されている人は、審査もスムーズです。法人名義や家族名義の不動産でも利用できるため、事業資金や相続関連の資金繰りにも適しています。

借入目的が明確で、計画的に資金運用できる人

事業資金・債務整理・相続税支払いなど、目的が明確な方は長期にわたる返済計画を立てやすい傾向にあります。資金をどこに配分すべきか判断できる経営者や投資家向きといえます。

不動産担保ローンが向かない人

緊急で資金が必要な人

担保評価・登記手続き・審査などに時間がかかるため、即日資金化は困難です。

以下に該当する場合は不向きです。

  • 数日以内の支払いが必要
  • 売掛金回収までの資金繰りを急ぎたい
  • 製品仕入れのために即金が必要
    このようなケースは、動産担保融資(ABL)やビジネスローンのほうが適しています。

初期費用を用意できない人

不動産担保ローンは低金利ですが、登記費用・司法書士報酬・不動産調査費用など初期負担が一定額必要です。まとまった現金を準備できない人には負担が大きくなります。

安定した返済計画を立てられない人

返済に遅れれば担保不動産の競売や信用情報への影響が発生します。以下に当てはまる方はリスクが高くなります。

  • 収入が不安定
  • 将来キャッシュフローが読めない
  • 既存の借入返済だけで余裕がない

返済計画に不安がある場合は、借入額の圧縮や別の融資手段を検討したほうが安全です。

担保にできる不動産がない、または権利関係が複雑な人

共有名義や相続中の不動産は、関係者の同意や追加書類が必要になります。調整に時間がかかり、利用が難しい場合があります。

不動産担保ローンが「動産保有者」にも向くケース

動産を保有していても、次のようなケースでは不動産担保ローンが強い選択肢になります。

  • 動産だけでは調達額が不足する
  • 動産の担保価値が変動しやすく、評価が安定しない
  • 動産担保融資(ABL)より低金利で借りたい
  • 不動産を追加担保で出すことでより有利な条件を狙いたい

動産+不動産を組み合わせた資金調達は、調達余力と金利のバランスに優れています。

判断に迷う場合のポイント

不動産担保ローンは万能ではなく、資金ニーズ・調達スピード・リスク許容度により向き不向きが明確に分かれます。

次の三つが揃っていれば「向いている」可能性が高いといえます。

  • 不動産の担保余力がある
  • 返済計画を安定的に描ける
  • 資金用途が明確

逆に、この三つが揃わなければ慎重に検討すべきです。

資金調達の手段は状況によって最適解が変わります。自分の返済力と目的をしっかり見極めて、ムリのない形でローンを使っていきましょう

不動産担保ローンと他の資金調達方法の違い

不動産担保ローンは「大口・低金利・長期返済」を同時に満たしやすい特徴を持ちますが、他の資金調達手段にも強みがあります。目的や調達スピード、保有資産の種類によって最適な手段は変わるため、代表的な方法との違いを体系的に整理します。

カードローンとの違い(スピード優先か、コスト優先か)

カードローンは、最短即日で少額融資が受けられる点が最大の強みです。動産しか持たない人でも利用でき、必要書類は本人確認程度で済む場合が多いです。しかし金利は高く、15〜18%台が中心で、調達できる金額も数十万〜数百万円が上限になります。

対して不動産担保ローンは、審査や担保評価に時間が必要なため即日調達には向きませんが、金利は3〜8%台と大幅に抑えられ、調達規模も数千万円〜1億円超まで広がります。事業や借換えのように「まとまった資金」と「低コスト」を重視するケースで強みを発揮します。

ビジネスローンとの違い(審査基準と資金使途の自由度)

ビジネスローンは事業者向けにスピード審査を行うローンで、決算内容や事業収益性を中心に審査されます。決算書に赤字がある、売上が不安定、といった状況では融資が難しくなる点がデメリットです。

不動産担保ローンは、不動産の価値が審査の大きな支えとなるため、赤字決算でも担保余力があれば融資の可能性があります。資金使途も柔軟で、事業資金だけでなく相続税納付、借換え、教育費などに対応できる点が大きな違いです。

ABL(動産・売掛債権担保融資)との違い(動産を活かす選択肢)

ABLは、在庫・機械設備・売掛金といった「動産」や「債権」を担保に資金調達する方法です。固定資産を持たない企業でも資金化できる点が特徴で、特に流動性の高い売掛債権は評価が安定しやすい利点があります。

ただしABLは担保価値の変動が大きいため、融資額が不動産担保ローンより低くなりがちで、金利もやや高めに設定されます。また在庫や売掛金の管理状況が悪いと評価が下がりやすく、調達額が安定しないこともあります。

不動産担保ローンは評価が比較的安定しており、長期返済が可能な点で優位に立ちます。企業が保有する不動産を活用して「調達上限を引き上げたい」場合に最も適した手段です。

資産売却・リースバックとの違い(資金化後も資産を保持したいか)

資産売却やリースバックは即時資金化に向いていますが、売却では資産を手放す必要があります。リースバックを選べば住み続けることはできますが、長期的には家賃負担が発生します。

不動産担保ローンは資産を保有したまま資金調達できるため、将来の売却価値を維持したい場合や、相続対策で「不動産を残したい」ケースで適しています。

選択基準を整理した比較

  • 即日〜数日で必要な少額資金
    → カードローン
  • 決算状況に問題がなく、迅速に事業資金が必要
    → ビジネスローン
  • 不動産はないが、在庫・売掛金を活用できる
    → ABL(動産担保融資)
  • 不動産を手放さずに大口調達したい
    → 不動産担保ローン
  • 不動産を売ってでも早く現金化したい
    → 資産売却・リースバック

このように、目的・資産・スピード・コストのバランスによって最適解が変わります。不動産担保ローンは、スピード以外の要素で最もバランスが良い調達手段といえます。

資金調達の選び方は、焦らず「目的・必要額・保有資産」を整理することが大切ですよ。急ぎの場合は他の方法を使い、落ち着いて計画できるときに大口を不動産担保ローンで確保するのが失敗しにくい進め方です

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2位りそな銀行りそなフリーローン(有担保型)りそな銀行大手都市銀行の不動産担保ローン。低金利かつ長期借り入れが可能年3.175%年10.30%大手都市銀行(メガバンク)全国100万円~1億円30年110,000円11,000円個人○親族(三親等以内)---公式サイト
3位東京スター銀行スター不動産担保ローン東京スター銀行地方銀行の不動産担保ローン。変動金利と固定金利あり年1.20%年8.70%地方銀行全国100万円~1億円30年融資額の2.20%借入期間5年以内:返済元金の1.10%,借入期間5年超:返済元金の0.55%(税込)個人○配偶者、実父母、実兄弟姉妹1週間前後--公式サイト
6位楽天銀行不動産担保ローン楽天銀行ネット銀行の不動産担保ローン。下限金利が低金利年1.83%年10.59%楽天グループ、ネット銀行全国100万円~1億円25年融資額の2.20%無料個人○親族(三親等以内)最短翌営業日最短3週間-公式サイト
7位住信SBIネット銀行不動産担保ローン住信SBIネット銀行ネット銀行の不動産担保ローン。仮審査はWEB完結年3.45%年9.40%SBIグループ、ネット銀行全国300万円~1億円35年融資額の2.20%繰り上げ返済額の3.143%個人○家族名義-3週間から1カ月程度-公式サイト
8位オリックス銀行不動産担保ローンオリックス銀行信託銀行の不動産担保ローン。固定金利が低金利年3.90%年7.375%オリックスグループ、信託銀行首都圏・近畿圏・名古屋市・福岡市1,000万円~2億円35年融資額の1.10%繰上返済元金金額に対する2.00%個人○家族名義約1週間--公式サイト
9位新生インベストメント&ファイナンス不動産担保ローン新生インベストメント&ファイナンス新生グループの不動産担保ローン。上限金利が低金利年2.95%年5.90%新生グループ、大手ノンバンク東京、神奈川、千葉、埼玉300万円~10億円35年融資額の2.20%元金残高の2.00~3.00%個人・個人事業主・法人○親族-最短1週間-公式サイト
10位三井住友トラストL&F不動産活用ローン三井住友トラストL&F三井グループの不動産担保ローン。最大10億円の借り入れが可能年3.39%年6.80%三井住友グループ、大手ノンバンク全国300万円~10億円35年融資額の2.20%元金入金額の~3.00%個人・個人事業主・法人○他人名義2営業日以内最短1週間-公式サイト
11位アサックス不動産担保ローンアサックス独立系大手ノンバンクの不動産担保ローン。上限金利が低金利年1.95%年7.80%大手ノンバンク東京、神奈川、千葉、埼玉300万円~10億円30年融資額の0%~3.3%元金入金額の~3.00%個人・個人事業主・法人○親族最短即日最短3日-公式サイト
12位岡村商事不動産活用ローン岡村商事関西エリアのノンバンクの不動産担保ローン。関西の方におすすめ年3.50%年9.50%中小ノンバンク高知県、愛媛県、香川県、徳島県、岡山県、大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県、三重県、愛知県~1億円25年融資額の0%~3.3%元金入金額の~2.00%個人・個人事業主・法人○家族名義最短即日最短2日-公式サイト
15位日宝不動産活用ローン日宝ノンバンクの不動産担保ローン。高金利だが審査に強み年4.00%年9.90%中小ノンバンク全国50万円~5億円30年不明不明個人・個人事業主・法人----公式サイト
16位マテリアライズ不動産担保ローンマテリアライズノンバンクの不動産担保ローン。高金利だが審査に強み年5.00%年15.00%中小ノンバンク全国100万円~1億円20年融資額の0%~5.0%不明個人・個人事業主・法人-最短翌営業日最短翌営業日-公式サイト
17位つばさコーポレーション不動産スーパーサポートローンつばさコーポレーションノンバンクの不動産担保ローン。高金利だが審査に強み年3.80%年7.80%中小ノンバンク全国~5億円30年融資額の0%~5.0%元金入金額の~5.00%個人・個人事業主・法人-最短7日最短7日-公式サイト
18位ジェイ・エフ・シー不動産活用ローンジェイ・エフ・シーノンバンクの不動産担保ローン。高金利だが審査に強み年5.86%年15.00%中小ノンバンク全国300万円~5億円10年融資額の0%~5.0%元金入金額の~5.00%個人・個人事業主・法人-最短3日最短3日-公式サイト
19位トラストホールディングス不動産活用ローントラストホールディングスノンバンクの不動産担保ローン。高金利だが審査に強み年3.45%年7.45%中小ノンバンク全国100万円~10億円30年融資額の0%~5.5%元金入金額の~5.50%個人-最短即日最短即日-公式サイト
4位セゾンファンデックス事業者向け不動産担保ローンセゾンファンデックスセゾンファンデックス年3.15%年9.90%セゾングループ、大手ノンバンク全国500万円~10億円30年残元金に対して最大3.3%(税込)11,000円個人事業主・法人○代表者の親族(三親等以内)が所有する不動産最短3営業日審査回答最短1週間-公式サイト
5位AGビジネスサポート不動産担保ローンAGビジネスサポートAGビジネスサポート年2.49%年14.80%アイフルグループ、大手ノンバンク全国100万円~5億円30年融資額の0~3.00%-個人事業主・法人最短3日--公式サイト